心一つに新春狼煙上げ 木曽谷60キロを煙でつなぐ 長野県
長野県南木曽町から塩尻市にかけての各地で4日、一斉に煙が立ち上った。「木曽谷狼煙上げ」と銘打ち、南北約60キロの木曽谷を煙でつなぐ新春の恒例行事だ。午前10時半、ヒノキや杉などの青葉を燃やした煙が立ち上り、1年間の健康や幸せを祈りながら見上げる笑顔が並んだ。 木祖村薮原の木曽川河川敷にある「水の始発駅公園」近くの中州では、ドラム缶2本を縦につなげた狼煙台で、豪快に白煙を吹き上げた。集まった約30人からは「(今年のえとの)蛇(巳)が『ねじりはちまき』のように天に昇っていくようだ」と声が上がった。 点火の音頭を取った実行委員会代表の柳川浩司さん(68)=木祖村薮原=は、空高く上がる白煙を眺めながら「災害や異常気象が起こらず、自然も社会も平穏無事であってほしい」願っていた。 狼煙上げの行事は、「木曽谷の連帯感を表そう」と南木曽町の住民組織・妻籠を愛する会の音頭で平成19(2007)年に始まり、郡内外に広がった。同会の集計で今年は17カ所に205人が参加した。 ◇ 塩尻市の塩尻東地区センターでは約20人が集まり、青空に高く上がる狼煙を見守った。 ドラム缶2個を縦に重ねた回りに、円筒状に丸めたトタン板を煙突のように置いた狼煙台を二つ用意した。会員や地域の企業の協力で集めたヒノキや杉、イチイの枝や葉を燃やした。狼煙上げという言葉に興味を持って見物に来た松本市の芝沢小学校2年生・萩原土貴さんは「煙が高く上がってすごかった」と感心していた。 塩尻東地区地域づくり連絡協議会の歴史・文化部が毎年、木曽地方での狼煙上げに協賛して同時に行っている。篠原隆志副会長(78)は「世界の平和と自分たちの健康を願い、1年間が無事に過ぎていってほしいという思いを込めた」と話していた。
市民タイムス