トークバラエティがこんなに多い今、個人の努力で防ぐのは限界がある? かまいたち濱家「薬剤師蔑視で炎上」も“同情”すべき理由
仮に必要なシーンだとしても、他の出演者からフォローがなければ、「※薬剤師さんには処方箋の内容確認が義務づけられています」といったテロップを入れる余地はあっただろう。それを出して、なおバラエティー番組として成立するかは別の話だが、少なくともここまでの炎上にはならなかったはずだ。 ただでさえ、ここ最近は相次ぐ不祥事によって、アンチテレビの風潮が加速している。ドラマ「セクシー田中さん」(日本テレビ系)の改変問題に加え、先日は「逃走中」(フジテレビ系)のロケスタッフが、近隣住民を軽視するような、強引な撮影を行った件も話題になった。
テレビ局の一挙手一投足が「失点ありき」で注目されているなかで、あのトークを無編集で流すとどうなるか……という想像力が欠けていた責任は否定できないだろう。 加えて、近年では芸能人がテーブルを囲んだり、ひな壇に並んだりするトークバラエティーが増えている。出演者のエピソードトークに頼れば、制作陣はコンテンツづくりを「丸投げ」できるわけだが、そのぶんコンプライアンス意識やリスク回避には、これまで以上に目を光らせる必要があるのではないか。
いざという時、今回のように、矢面に立つのは出演者だ。「責任の負担を含めてのギャラ(出演料)設定だ」と言えば、たしかにビジネスとしては一理あるのだが、SNSなどでの芸能人への誹謗中傷が社会問題化される昨今、視聴者感情としては受け入れにくい。また、この構図が透けることで、ネットユーザーは「上から目線」の業界体質に反発を覚え、より「マスゴミ」への悪印象を強めてしまう。 ■ローカル番組も、全国で視聴できる時代
テレビ番組の視聴形態が変わったことも、炎上の性質が変化してきた一因に思える。ちょっと前までは、リアルタイムもしくは録画で見るしか手段がなかったが、いまやTVerで「見逃し配信」を楽しめる。テレビ局にとっては収益化の手段が増えた一方、不適切発言があれば、その出典元に直接アクセスできるようにもなった。 そもそも、これだけの炎上を巻き起こした「これ余談なんですけど・・・」だが、実は東京では放送されていない。キー局であるテレビ朝日は、その時間帯に別番組を流しており、日を改めての放送もない。しかしTVerの誕生によって、関西ローカルの番組でも、全国で視聴できるようになったのだ。