政策か協調か、バラエティに富む候補者たちのリーダー論 選挙で問われる知事の資質
31日に告示された兵庫県知事選(11月17日投開票)は、過去最多の7人による争いとなった。今回の選挙の発端は、前知事の斎藤元彦氏(47)の疑惑が文書で告発された問題。告発者を捜して処分した斎藤氏の対応などに、「知事としての資質を欠いている」との批判が上がり、県議会の全会一致で不信任が可決された。17日間の選挙戦では、「知事の資質」が争点になる見通しで、候補者らは初日から目指すリーダー像などを訴えた。 【写真】「斎藤さんだけには当選してほしくない」中川暢三元加西市長、兵庫知事選に不出馬表明 「職員や県議会ともっと丁寧に、自分の言葉で対応していくことも必要だったかもしれない。反省すべきは反省する」 告示後の第一声。斎藤氏は「文書問題で多くのご心配をおかけしたことは申し訳ない」と謝罪しつつ、「斎藤か斎藤以外か。私は絶対それに負けるわけにはいかない」と声を張り上げた。 斎藤氏のパワハラ疑惑などを記した告発文書が一部の県議や報道機関に送付されたのは、今年3月。斎藤氏は側近幹部に調査を指示して告発者を特定し、5月に停職3カ月の懲戒処分とした。 しかし、調査の経緯に批判が上がり、県議会は6月に調査特別委員会(百条委員会)を設置。百条委では有識者から、斎藤氏らの対応は公益通報者保護法に違反するとの指摘が相次いだ。 斎藤氏は「対応は適切だった」との主張を崩さず、告発者の死亡などを巡り「道義的責任が何か分からない」と発言。不信任の流れが加速し、全会一致での可決から失職、出直し選へとつながった。 前参院議員の清水貴之氏(50)は選挙戦初日の演説で「『兵庫どうなっているの』と、そんなことを言われて残念でならなかった」と県政の混乱ぶりを振り返った。 その上で、「この状況を何とか立て直していきたい。兵庫の経済、県政を新しく作り直すためには、やはりコミュニケーション。県民の声を聞いていくことが大事だ」と訴えた。 「文書問題への県の一連の対応をしっかりと検証していく」 同日朝、県庁前でそう訴えたのは、元同県尼崎市長の稲村和美氏(52)。「告発された当事者が事実解明よりも告発者捜しや処分を急いだのはやはり問題だ」と指摘し、「どんな優れたリーダーも、たくさんの人と力を合わせてこそ、さまざまな施策を前に進めることができる」とアピールした。 ■政策推進力と対話力のバランスが重要 神奈川大学の大川千寿教授(政治過程論)