《ブラジル》JICA協力隊員リレーエッセイ=ブラジル各地から日系社会を伝える(20)=古き良き相互扶助の精神の地=コロニア・ピニャール文化体育協会 橋本 理沙
2024年2月から、コロニア・ピニャール文化体育協会のコロニア・ピニャール日本語モデル校でボランティアをしている、橋本理沙です。 私がいるコロニア・ピニャールは、サンパウロ市から南西に170kmの位置にあるサンミゲル・アルカンジョ市とピラール・ド・スール市の間にあり、市街から車で30分の場所に位置しています。この地は1962年にJICAと福井県の直轄移住地として3家族が移住を始め、現在は約50世帯ほどの日系人が暮らしています。 この地の主な産業は農業で、柿やびわ、ぶどうやドラゴンフルーツなど季節によってさまざまな果物が採れます。 2024年2月、私が初めてこのコロニア・ピニャールの地についた時、村の人たちが大勢集まって、温かく迎え入れてくれたことを鮮明に覚えています。「先生、食べてね!」とたくさんの美味しい果物を持ってきてくれました。 配属先であるコロニア・ピニャール文化体育協会は、地域社会の発展と会員の生活の安定、文化福祉の向上のために、日本文化やスポーツイベントを運営しています。日本語学校以外にも、太鼓部やバレーボール部、俳句部、卓球部など部活動も盛んに行われています。 コロニア・ピニャールにきて、一番驚いたことは、村人の皆さんの日本語力の高さです。はじめはポルトガル語でのコミュニケーションに不安を持っていましたが、実際は日本語での会話ができる方が多くいらっしゃり、日常会話でもたくさん日本語が使われています。 また、イベント時に振る舞われる料理も日本の料理が多く、地球の反対側でも日本で暮らしているような感覚になるほどです。 日本語学校では、現在5歳から16歳まで、14名の生徒が勉強しています。今まで子供に携わる仕事をしたことがなかった私は、当初、「どんな子供たちがいるのかな」「うまくやっていけるのかな」と不安な気持ちがありました。でも、その不安は学校での仕事の初日になくなりました。子供たちは「先生、はじめまして!」と明るく元気にハグをしてくれて、すぐに打ち解けることができました。 コロニア・ピニャールでは、日本の古き良き相互扶助の精神が根付いていると感じています。村での大きなイベントや、学校での行事があると、保護者会や卒業生、卒業生の家族など、村中の人がボランティアで集まってイベントを行います。そのイベントの主役はいつも子供たちで、子供たちの日本語能力や人間性の成長を村の方々みんなで温かく見守り、まるで一つの大きな家族のように一緒に育ててくれています。 そして、とてもありがたいことに、村の方々は日本からきた私のことも、まるで家族のように迎え入れてくれています。村のお母さん方は「先生はわたしの娘みたい!」と言ってくれて、私が風邪をひいたときや、忙しいときは、必ずご飯を持ってきてくれたり、不自由がないよう生活のサポートをしてくださいます。 そんな温かい村の方々や、「いつか日本に行ってみたいなぁ」と言ってくれる子供たちに恩返しができるよう、この2年間全力を尽くして、少しでも子供たちの成長に貢献したいと思います!
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