エミー賞最多ノミネート「SHOGUN 将軍」衣装制作秘話 作品を通じて深まる日本のファッション文化への理解とリスペクト
ホアキン・フェニックス(Joaquin Phoenix)とリース・ウィザースプーン(Reese Witherspoon)と映画「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」を撮影したときの特別な瞬間も覚えている。あの2人の演技のケミストリーは魔法のようで、映画製作が大好きになった。
オファーから撮影まで
「SHOGUN 将軍」衣装の制作秘話
WWD:「SHOGUN 将軍」の衣装制作のオファーが来た時のエピソードが知りたい。日本の歴史を表現する作品の衣装を手掛けることに不安はあったか?
カルロス:2021年の初めに、リード・プロデューサーの一人であるエドワード・L・マクドネル(Edward L. McDonnell)から連絡を受けた。彼とは昔、ジョージ・クルーニー(George Clooney)主演の「スリー・キングス」という映画で一緒に仕事をしたことがある。その時から私達はいつも「また一緒に仕事をしよう」と連絡を取り合っていたが、なかなかその機会は巡って来なかった。そしてついに「SHOGUN 将軍」で、その想いが実ったのだ。
マクドネルの紹介で、脚本家のジャスティン・マークス(Justin Marks)と話し、最初の脚本を読んだ時にそのストーリーと当時の日本文化の豊かさに惚れ込んだ。すぐにリサーチを始め、マークスに見せるために125枚以上の衣装イメージボードを作成した。3回の面接の後、ついに今回の衣装を任せてくれることになったのだ。
衣装のデザインを任されることは有り難くもあり、とても緊張することでもある。マークスは「本物であることが非常に重要だ」といつも口にしていた。当時の衣服を理解するため、可能な限り調べ、勉強した。日本文化を尊重し、適切に描写すると同時に、欧米の人々も理解できる形で表現する方法を導き出すことが私の課題だった。
WWD:衣装チームは何人で構成されたのか?
カルロス:「SHOGUN 将軍」は全エピソードが本格的な映画のようにデザインされる、とてつもないスケールのシリーズだった。テレビシリーズでこの規模のスタッフをそろえるのは非常に珍しいことだと思う。