進むJ-POPのグローバル化。海外で日本のアーティストの活躍が加速している理由
攻めの姿勢で海外市場を開拓するアーティストたち
YOASOBIは近年アジアやアメリカでツアーを行い、シカゴのLollapaloozaやニューヨークのRadio City Music Hallといった著名な会場で公演を成功させている。 「熱狂は世界を駆ける~J-POP新時代~」でもフィーチャーされていた新しい学校のリーダーズも、コーチェラの単独ステージでおおいに会場を沸かせたことでも記憶にも新しい。彼女たちは2021年にアメリカの音楽レーベル「88rising」と契約し、海外名義「ATARASHII GAKKO!」として世界デビューを果たすと、同年、ロサンゼルスで開催された音楽フェス「Head In the Clouds」に出演。また、「オトナブルー」はTikTokでバイラルヒットとなり、関連動画の総再生回数が30億回を超えた。北米ツアーの大好評は、それまでの蓄積があったからこそ生まれたものだ。 そして、Number_iのコーチェラ参加も面白かった。もちろん、彼らのステージがアジアのミュージシャンをフックアップしてきたレーベル「88 rising」によるショーケース「88 Rising Features」の一部であったことも明記しなければいけないし、同じステージにYOASOBI、新しい学校のリーダーズ、Awichが登場したことも忘れるべきではない。 ただ、日本で元々大きなファンダムを有している彼らが、安定した磁場の外側に出ていこうとする運動に魅力を覚えるのは否定しがたい(これはコーチェラだけでなく、サマーソニック、あるいはヒップホップ中心のフェスに出演する国内での活動にも同様のことが言える)。もっと多くの人を巻き込みたいという彼らの姿勢に、現状のJ-POPの業界構造を図らずも変えてしまうかもしれない予感がするからだ。
海外の大物とも対等にコラボレーション
日本と海外のアーティストが、対等にコラボレーションする機会も増えている。 KOHHとしての活動をストップし、「チーム友達」で鮮やかな復活を果たした千葉雄喜は、アメリカの人気ラッパー、ミーガン・ジー・スタリオンとのコラボレーションで注目を集めた。 2024年6月28日にリリースされたミーガンのアルバム『MEGAN』に収録された「Mamushi feat. Yuki Chiba」は、リリース直後から世界中で話題となり、日本語と英語が混在するこの曲はビルボードのGlobal 200で29位、米国のHot 100でも36位を記録。グローバルスターの集まる恒例イベントMTV Video Music Awardでは、ミーガンのステージに千葉雄喜が登場し、軽やかな存在感でインパクトを残した。KOHH時代から海外ラッパーとのコラボの多かった千葉雄喜だが、ここまでの大舞台に上がったのははじめてのことだ。 King Gnuの常田大希が主宰する音楽プロジェクトMILLENNIUM PARADEも、10月18日にリリースされた楽曲「KIZAO」で、4度のグラミー賞ノミネートや2度のラテン・グラミー賞受賞歴を持つラテンミュージック界のスター、ラウ・アレハンドロとコラボレーションを行った。 プエルトリコ出身の音楽プロデューサーTainyも参加したこの曲はレゲトンとシティポップの中間をいくようなトラックで、ラウやタイニーのキャラクターも登場するアニメーションのMVとともに注目を集めた。ラウとMILLENNIUM PARADEはさいたまスーパーアリーナで行われたCOKE STUDIO LIVEのステージでも共演を果たした。