涙のち満面の笑み…織田信成が家族の前で万感のSP、3度のジャンプ成功「おじさんでもできる」
フィギュアスケートの全日本選手権は20日、大阪府門真市の東和薬品ラクタブドームで開幕し、男子ショートプログラム(SP)は鍵山優真(オリエンタルバイオ)が92・05点で首位に立った。11年ぶりの出場となった2010年バンクーバー五輪代表の織田信成(37)(大阪ク)が84・53点で5位につけ、目標の「8位入賞」へ好スタートを切った。 【写真】手を合わせる高橋大輔、織田信成、小塚崇彦(2010年2月10日撮影)
織田はこの日、冒頭の4回転―3回転の連続トウループを決めると、「マツケンサンバ」の軽快なリズムに乗って会場を盛り上げた。トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)、両手を挙げての3回転ルッツも成功させて、演技後は大粒の涙があふれた。
13年末の全日本選手権後に現役を引退。その後、アイスショーでスケートを続けるうちに、「ちゃんとした演技を観客に届けたい」「おじさんでもできるところを見せたい」との思いが強くなり、22年に競技に復帰した。今年11月の西日本選手権で優勝を飾り、全日本出場を決めた。
2年間、4回転ジャンプの成功にこだわってきた。体への負担が大きく、「膝や腰が持たない」といい、今季限りで「2度目の引退」を決めている。最後の全日本選手権となる今大会、「全力でやっている姿を、37歳まで粘ってジャンプを跳んでる人がいるんだなと(若い選手たちに)思ってほしい」とも語った。
この日は家族も会場で応援。前日には長男らから「頑張って」とエールをもらい、この日は妻から「これが最後(の全日本)だから楽しんできて」と声をかけてもらったという。会心の演技に、「自分のスケートを楽しみ、見ている人にも楽しんでもらえたと思う」と満面の笑みを見せた。