世界を席巻中の中国自動車メーカー「BYD」が本気でニッポンに攻めてきた!
実は中国での販売はオンラインが基本というBYDだが、日本の流儀に合わせ、リアル店舗を用意しているという。 「BYDオートジャパンの東福寺厚樹社長は三菱自動車出身で、フォルクスワーゲングループジャパンの販売会社の社長も務めていました。当然、日本市場のツボ、販売店の大切さを熟知している。BYDが販売網を整備しているのは、裏を返せば、本気で日本市場に攻め込んできたという証拠」 とはいえ、現時点でのBYDの販売は"EV一本足打法"。新車販売に占めるEVの割合は全体の2.2%程度しかないのが日本市場の現状で、BYDにうまみはあるのだろうか? 「もちろん、日本市場でEVが普及するには、まだまだ時間が必要ですが、現時点でEVに関心のあるユーザーをシッカリ取り込みたい。そのために、まず日々の整備点検や修理などで信頼を勝ち取っていく」(販売店関係者) つまり、地道にブランド力を磨くという話で、どうやらBYDは腰を据えて日本市場を攻略する構えのようだ。 ■BYDとメルセデス・ベンツの合弁会社が放ったミニバン 政府が"自動車強国"を掲げる中国で、過酷な生存バトルを勝ち抜いてきたのがBYDである。その実力を垣間見たのが、昨秋開催されたJMS(ジャパンモビリティショー)2023。まず週プレはBYDの出展ブースの広さと豪華さに度肝を抜かれた。 さらに驚いたのは、世界中の報道関係者やインフルエンサーなどが殺到し、BYDのブースは常に熱気ムンムン。 噂の最新EVのシールはもちろん、BYDの高級ブランドが売るSUVタイプのPHEV、そして10年にメルセデス・ベンツと設立した合弁会社が放ったEVミニバンには黒山の人だかり。BYDブースに広がる熱狂の渦に圧倒され、ア然ボー然の週プレに、顔見知りの専門家はこう言った。 「BYDは"令和の黒船"です。日本は中国の自動車メーカーに対する認識を早くアップデートしないと、世界から取り残されてしまう。日本の自動車メーカーだって、うかうかしてられませんよ」 米フォードですら撤退を余儀なくされた日本市場。新興メーカーの中国BYDがどう戦うのか注視していきたい。 取材・文/週プレ自動車班 撮影/望月浩彦 写真/時事通信社