世界を席巻中の中国自動車メーカー「BYD」が本気でニッポンに攻めてきた!
そんなBYDのデザインを担当するのが伊アルファロメオや独アウディで辣腕を振るったヴォルフガング・エッガー氏。BYD車のお顔のアイコンとなる"ドラゴンフェース"を造り上げた人物だ。走りも欧州EV顔負けの仕上がりで、EV推しのメディアはBYDの脅威をあおりにあおった。 だが、昨年のニッポン市場におけるBYDの販売台数は1446台(アットスリーが1198台、ドルフィンが248台)。JAIA(日本自動車輸入組合)によると、昨年の輸入車全体の販売台数は24万4844台で、1位は9年連続トップのメルセデス・ベンツで5万1534台。2位はBMWで3万3712台。3位は独フォルクスワーゲンで3万2172台の順となっている。 ちなみにニッポンに再上陸を果たした韓国ヒョンデが、満を持して投入した自慢のEVも苦戦しており、JAIAによると、昨年の新車販売台数は489台。専門家いわく、日本の消費者は昔から韓国や中国の自動車メーカーに対する拒絶反応が強いのだという。 「ニッポン市場における輸入車のシェアは5%前後で、売れ筋は欧州車というのが相場です。BYDは好感度の高い長澤まさみさんをCM起用することで、同社の認知度を高め、中国車に渦巻くアレルギー反応を少しでも緩和させたいはず。CMで日本の消費者の意識をどこまで変えられるのか注目しています」(海外ブランド車の関係者) ■BYDが日本市場に攻め込むワケ では、なぜBYDは中国車に対する風当たりが強い日本市場に乗り込んできたのか? 「日本の自動車総保有数は約8290万台で、昨年は約478万台の新車需要があった。実は日本市場は中国、アメリカ、インドに次ぐ世界4位。加えて厳しい目を持つマーケットとして世界に知られています。 つまり、日本市場への輸出はBYDの商品力、信頼性、安全性のイメージを大きく向上させ、ほかの市場に進出する際の"通行手形"の役割にもなる」(自動車誌幹部) さらにこんな意見も。 「中国が大量生産する低価格EVに欧米は反発しています。5月14日に米のバイデン大統領が中国製EVに100%の輸入関税を課すと発表し、EU(欧州連合)も中国製EVに対する追加関税の導入を検討している。そんな欧米と比べたら日本市場のハードルは低い。 しかも、うまく転べば"周回遅れの日本でEVをリードした"と、ほかの市場に対して喧伝できる」(EV関係者) 興味深いのはBYDの販売方法だ。テスラやヒョンデはオンライン販売で日本市場に攻め込んできているが、BYDは昔ながらの店舗販売にこだわる。その狙いとは? 「日本市場で成功するには、アフターサービスも含めた販売網が必須。BYDは現在57店舗を用意し、来年末までに販売店を100店舗以上に展開する目標を掲げています」(前出・自動車誌幹部)