幼い字で「命をなげうち戦って下さる兵隊さんのおかげ」…慰問文が語る「当時の教育の恐ろしさ」
戦時中に前線の兵士に届けられた女学生らの慰問文が、福岡県小竹町御徳の「兵士・庶民の戦争資料館」で展示されている。兵士を鼓舞する内容を幼い字で書いた手紙が多く、武富慈海館長は「平和に関心を持つ機会にしてほしい」と来場を呼びかけている。31日まで。(小山田昌人) 【動画】魚雷発射、方位盤に浮かぶ母の顔が「死ぬな」と…逃げる駆逐艦で「生きたい」と願った
慰問文は、武富館長の父・登巳男さん(故人)が1938~41年、陸軍兵として駐留していた中国東北部(旧満州)で受け取った慰問袋に入っていたもの。戦中に一時帰国した際に持ち帰った。
今回は女学生や尋常小学校に通っていた子どもから送られた58点を展示している。宛名は「勇ましい兵隊さん」、「皇軍の将兵さま」がほとんど。いずれも身のまわりの紅葉や旅行に行った体験など国内の近況を伝え、「命をなげうち戦って下さる兵隊さんのおかげ」、「お國をまもってください」との言葉が添えられている。
なかには、40年に隅田川に完成した勝鬨橋のイラストや、歴史上の偉人を当てるクイズが書かれたユニークな内容も見られる。
武富館長によると、たばこやお守りなどの激励品を詰めた慰問袋が定期的に前線へ送られたが、慰問文は入っていないこともあった。戦後、引き揚げる際には持ち帰ることが許されなかったため、国内に残る慰問文は非常に貴重だという。
武富館長は「慰問文は戦意を高揚するために、子どもや女学生を動員して送られた。当時の教育の恐ろしさとともに、二度と戦争をしないための反省材料として見てほしい」と話している。
開館時間は午後1時半~同5時。入場無料。水、木曜日は休館。問い合わせは、武富館長(090・6897・8134)へ。