月収50万円「エリート国家公務員」60歳・役職定年後に手にする「給与額」に絶句するも、「大企業・元部長の大学同期の惨状」に二度目の絶句
60歳の崖…民間企業の場合、給与7割減も
制度変更に伴い、早速給与が3割減となった国家公務員からは、「厳しい」という声が聞こえてきます。 61歳・霞ヶ関で働く加藤浩一さん(仮名)。月収50万強だった給与は、役職定年で2割減。そしてさらに春にはさらに1割減。 ――これまでのキャリアで基本給が下がるということはありませんでした。実際に目の当たりにすると結構なインパクトですね 最初に3割減となった給与額を目にしたとき、わかっていたこととはいえ、言葉を失ったといいます。一方で「民間企業にいった大学の同期から話を聞くと、国家公務員はまだましだなと実感しました」とも。 話に挙がった大学の同期は、新卒で大手メーカーに就職。片や国家公務員で管理職までのぼりつめ、片や誰もが知る有名企業で本部長までのぼりつめた……どちらもエリートコースを歩んできた、という点では共通しています。 大学卒業してからも、年に2、3度は顔を合わせて昔を懐かしむ仲。先日会ったときは、自ずと加藤さんの役降り&給与減の話になったといいます。 わかっていたこととはいえ、給与減を目の当たりにするとモチベーションが下がるという愚痴をいったところ、「国家公務員なんてまだまし」と諭されたといいます。 国家公務員の給与は民間準拠なので、民間企業においても定年を境に、給与は平均3割減となっています。しかし企業によって事情はまちまち。同期の会社では、まず58歳で役職定年を迎え、給与は月収で4~5割減。さらに60歳定年でいったん退職となり、嘱託社員として再契約。その際、給与は3割減。同期の場合、役職定年前の月収は120万円。契約社員となった今は月収35万円。30代前半くらいの給与水準に逆戻りだそうです もちろん、民間企業でトップ層までのぼりつめた同期のほうが、エリート国家公務員の加藤さんよりも多くの給与を得てきました。ただ基本給が低く、役職手当が厚いという給与体系のため、役職がなくなったときのインパクトがとてつもなく大きいのです。 ――インパクトでいったら、俺の勝ちだ と自虐的に笑う大学同期。この2年ほどで給与が7割減という現状に、かける言葉も見つからなかったといいます。 公務員もサラリーマンも、60歳定年で多くが退職していた時代は終わり、65歳、さらには70歳まで働ける環境が整いつつあります。しかし、減額率はさまざまですが、60歳を境に誰もが「60歳の崖」と呼ばれる給与減を経験します。 この崖を見据えず、現役時代と同じ生活水準でいると収入減に対応できず、年金生活が始まるころには家計運営が行き詰まり、最悪、老後破綻が現実のものになります。 崖から落ちて大怪我をしないよう、50代に入ってからは少しずつ生活の見直しを進めることが、安心の老後を迎えるためのポイントです。 [参考資料] 人事院『国家公務員の60歳以降の働き方について(概要)』