帝王・今江克隆が若いバスプロに物申す!「サポートメーカーへの逆効果」「バスプロの存在意義」とは?
サポートプロの仕事
3尾中1尾でも釣ってくれれば溜飲も下がると今江は言うが、それは自身も選手だからこそのやさしい意見だろう。プロ選手は自社製品プロモーションが仕事であり、自分が使いたいルアーは自ら開発できる立場にある(会社によるが)。その立場を自ら放棄し、安易に流行りのルアーに飛び乗るようであれば、プロ選手としての矜持も価値もないと言われてもしようがないのではないだろうか。 今江が最後の大仕事としてやろうとしているライブ配信を阻む最大の障壁は、『プロ意識の低下』だということをすべてのプロは理解したほうがいいだろう。自社製品を宣伝すること、ルアーの有効性を証明することがサポートプロの仕事であることは間違いない。もし自社ルアーに有効性がないならば、意見を通して有効性を発揮できるように改良すればいいのだから。 今江「昔は日本でももっとプロへの締付けはきつかった。それだけ所属プロのプロモーションが売り上げに直結していたからだ。しかし近年はバスが非常に釣れにくくなってきたし、メーカーも選手に以前ほど強く言わなくなってきた流れもある。また、バス市場が激減した事で十分な契約金も出せず、昔ほどメーカーとして選手に対し強く出れないことの裏返しかもしれない。しかしそれってニワトリが先か卵が先かの話であって、自社ルアーを使ってくれなければメーカーはサポートしなくなるのは当然だろう。たとえ移籍したとしても、そいう人間は新しい場所でも勝つために必要なら他社ルアーを使うだろう。こうなってくると選手にお金を払う意味が見い出せなくなってくる」 今江「これはライブスコープ問題よりもはるかに深刻だと思う。ライブ配信が充実すればするほど、メーカーのスポンサー離れ、スポンサーの選手離れが加速するかもしれないというジレンマを今のバス業界は抱えている。これを解決する可能性の一つは配信の有料化だが、それでは視聴者数は激減し本末転倒になるだろう。だからこそスポンサーシップの意味を選手がしっかりと理解し、スポンサーメーカーにも、ルアー・タックルを購入してくれる一般のファンにも、それぞれにウインウインとなる情報提供ができるかどうかにかかっているだろう」 契約大国アメリカでは契約で細かく、厳しく決められているのかもしれないが、日本では曖昧な『信頼関係』という絆でメーカーと選手はつながっている。選手はサポートされている意味を今一度しっかりと認識し、サポートメーカー、一般のバス釣りファン、大会運営サイドがすべて純粋に楽しめるようなライブ配信を目指してほしい。
今江克隆
いまえ・かつたか/JBバストーナメント黎明期より一線で戦い続けるコンペティション・アングラー。IMAKATSU代表として多くの名作ルアーを発表し、発明的なアイデアでユーザーを驚かせる一方、競技者として今なお進化すべく研鑽を止めない現役のレジェンド。