"ガイドライン違反"だが"法律違反"ではない...?斎藤知事『文書問題』これまでの経緯 専門家も意見が分かれる『公益通報』への解釈 ルールの改定が今必要?
「内部通報」と「内部告発」は違う 公益通報とは?
公益通報は3種類あります。その中には「内部通報」と「内部告発」があり、似ていますが公益通報保護法という法律上は分けて考えられています。内部通報というのは県が設置した窓口へ通報する「1号通報」は通報者が保護されます。 また、「内部告発」の中でも行政機関への通報は「2号通報」。マスコミなどへの通報を「3号通報」としていて、情報が外部に出る「2号通報」「3号通報」は条件つきで通報者は保護されることになっています。これは情報の流出を防ぐためだといいます。「2号通報」「3号通報」の通報者が守られる条件は“真実相当性”の有無だと定められています。 今回の騒動で3月12日に元県民局長がマスコミあてに送付した告発文は「3号通報」にあたります。そして論点になるのが真実相当性の有無についてです。
“ガイドライン違反”ではあるが、“法律違反”ではない・・・?
兵庫県の法律相談に乗る藤原正広弁護士は9月の百条委員会で以下のように発言しました。 「(告発文書が)居酒屋でお酒を飲みながらの(話)ということになると真実性が担保されているかどうかは疑問を持たざるを得ない。真実相当性が認められないから不利益取り扱いは禁止されない懲戒処分は可能である」 また、斎藤知事も「真実相当性がなく誹謗中傷が高い文書だった」と主張。 これに対し、公益通報者保護制度に詳しい大森景一弁護士は「そもそも『ない』とも言い切れないので?そうなれば通報者は保護対象」だとしています。 大森弁護士によると『公益通報者保護法に基づく指針』には以下の方針が書かれているということです。 ●対応は通報に関する者を除外 ●通報者の探索を防ぐ ●公益通報者を保護する体制の整備 ●不利益な取り扱いをした場合回復措置 指針はあくまでもガイドラインとなっていて今回の一連の騒動も、ガイドライン違反は起きているが、法律違反だとは言い切れないため専門家の間でも意見が分かれているといいます。
専門家「通報者のメリットが少なすぎる」 公益通報にルール改正への動き
2024年12月現在、消費者庁は公益通報者保護法を改正を検討していて、12月24日の最終会合で内部通報者を解雇・懲役処分とした事業者に刑事罰を導入する案が出されています。 大森景一弁護士によりますと、「通報者のメリットが少なすぎる。アメリカでは通報して事業者が罰金払うような事態になった場合、10%~30%に通報者に入る報奨金制度や退職金の上乗せなどが行われている」ということで、公益通報者保護法のルールの改定の検討も必要になってきています。