名古屋市長選の争点 6年間閉鎖の「名古屋城天守」木造復元はどうなる
「ただ一つしかない名古屋の宝」
この問題をめぐっては9月に検証委員会が最終報告をまとめ、差別発言を止められなかったのは「市長や市職員の人権問題への意識の低さ」が要因の一つと指摘。 報告書を受け取った河村前市長は――。 「(人権意識が)希薄だったというのは自分の意識と違うが、それでも気付くべきだったと。世界一のバリアフリー都市を実際に作っていく」(名古屋市 河村たかし前市長) それでも天守のエレベーターをめぐっては――。 「天守は別個の文化財として、ただ一つしかない名古屋の宝ですよ。本物を大事にしていくことも人権ですから」(河村 前市長) Q.(エレベーターを)5階までつけたくない? 「そうですよ」
木造復元についてバリアフリーを求めてきた人は
名古屋城を訪れた観光客に木造復元への意見を聞くと――。 「城として残すのであれば鉄筋でなくて木造のほうが後々のためにはいいと思う」(宮城から) 「個人的な思いを言えば、昔の再現でというところはあるが、今の時代の流れで行くとどんな人でも見られるというところが大事だと思う」(岐阜から) バリアフリーを求めてきた人は木造復元をめぐる議論をどう見てきたのでしょうか…。 「せっかくの木造復元をするんだったら、誰もが上がることができるようにしてほしいとは思う。今時エレベーターを使うのは車いすのひとだけとは限らないし、ベビーカーの方も見えるかもしれないし、お年寄りの人もいる。そういう人たちが来た時に誰もが利用しやすいものになるべきだとおもう。公共のものだから。文化財とみない人もいれば、みなす人もいると思う。もう1ついうと500億の税金を使ってやることかなと。本当にいいことなのかということを改めて選挙で考え直すのが良いのかなと個人的に思っている」(名古屋市在住 バリアフリー推進の活動をしている人)
名古屋市長選7人が立候補
前市長の”置き土産”が、今回の市長選の争点のひとつに。 市長選には、届け出順に7人が立候補しています。 「ちゃんと、設計図どおりに木造で復元することで文化財としての価値が出る、これはしっかりやらせていただきたい」(無所属・新人 広沢一郎氏) 名古屋市の前副市長、広沢一郎氏。事業は河村前市長の方針を引き継ぎ、継続・推進の立場をとっています。 「みなさんにきちんと説明しないと。あいまいなイメージで、名古屋城は前にも後ろにも進めなくなっている」(無所属・新人 大塚耕平氏) 前参議院議員の大塚耕平氏は、「市民への説明」が最優先とし、そのうえで今後の対応を探っていくとしています。 「名古屋城の天守閣を木造化、そんなところにお金を使っている暇がありますか。そんなにお金持ちなんですか名古屋は」(無所属・新人 尾形慶子氏) 政治団体の共同代表、尾形慶子氏は「木造復元事業は中止」、現在の天守の耐震改修を進める考えを示しています。 元会社員の太田敏光氏(無所属・新人)は「無理・無駄がある」として、事業は中止し、現在の天守の耐震化を行うとしています。 旅行会社社長の水谷昇氏(無所属・新人)は、事業を取りやめ、耐震化したうえでインバウンドのための施設として活用すると訴えています。 元大学講師の不破英紀氏(無所属・新人)は、事業について「時間をかけて、慎重に進めていくべき」としています。 元自治大学校教授の鈴木慶明氏(無所属・新人)は、財源次第だとはしながらも、災害に耐えられるコンクリート造りが望ましいとしています。