城氏が語る「森保J初のタイトル奪取もW杯代表26人に入ってくる新戦力は見つからなかった」
3-0で快勝した昨年3月の日韓戦に続き、また今回も3―0の大差がついた。韓国は日本と同様に国内組で編成されポイントに主要選手がいなかったことも影響したのだろうが、ここ数年、日本が対峙してきた韓国の中で最も弱いと言っていい。日本のJリーグが進化し、韓国のKリーグとの差を広げたわけではないが、もはや韓国は日本のライバルではなくなったのかもしれない。 2018年から韓国の指揮を執る元ポルトガル代表監督のパウロ・ベント氏が標榜するヨーロッパスタイルのポゼッションサッカーが合っていないと感じる。この日も無理にパスをつなごうとしてミスが目立った。とことん走りきる運動量と、フィジカルを生かしてパワーで押し切るサッカーが韓国の長所だった。そして何より日韓戦になると目の色を変えてくる闘志と集中力が、韓国の怖さでもあった。 私が、現役の頃には、韓国を特別にライバル視していたわけではなかったが、気迫を全面に出してガツガツくるので「負けられない」という気になり、必然、激しい試合となった。 だが、戦術重視の洗練されたパスサッカーを目指す中で、その韓国の良さが消えてしまっている。日本に先制された後にもガムシャラさに欠け「絶対に取り返すんだ」というものが感じられなかった。ディフェンスがキーパーにパックパスをしていたのが、その象徴シーン。 パワーと高さを生かして、長いボールをゴール前に放り込まれてガチャガチャに押し込まれる方が厄介なのだ。おそらく今は迷走期。ここを突き抜けたところに新しい韓国のサッカーが生まれるのかもしれないが、W杯の戦いを含めてチームをどう方向づけていくのだろうか。 (文責・城彰二/元日本代表FW)