有村架純、実力と向き合う瞬間 いま探す役とは
「少なからず役に引きずられているんだな、とは感じますね」 自らを、役に没頭し、いれ込んでいくタイプの役者だと分析する有村架純は、このところ感情を内に秘める役柄が続いていた。とくに昨年からは映画「コーヒーが冷めないうちに」、「かぞくいろ -RAILWAYS わたしたちの出発-」、「フォルトゥナの瞳」と、いずれも外へ感情を発散するというよりは、静かに、どちらかといえば気持ちをためることの多い役ばかりだった。 【写真特集】有村架純「ドラクエ」ビアンカ役に臨む
「役が抱える負の感情が自分の中にずっとたまったままだったんです。テレビドラマの『中学聖日記』の末永聖という役も、わー楽しいっていう感じじゃなくて、思いを秘め続ける時間の多い役だったので、だんだん自分がへとへとになっちゃったんです。それで、ずっとこの役をやり続けていたら私自身がだめになりそうって思ったので、いったん台本を置いたタイミングがありました」 撮影期間が4ヵ月あったので、一度ブレークをはさんだという。そんなことからも、現在は「割と発散するというか、自分発信で感情を豊かに表現できる役どころを探しているところです」と笑う。
「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」で4度目の声優挑戦
そういう意味では、収録自体は2年前になるが、声優として出演する3DCGアニメーション映画「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」(8月2日全国東宝系で公開)のビアンカ役は、乙女心を持ちながらも気が強くてはすっぱな部分もあり、感情を外へ向けて発散できる役柄の一つといえるだろう。 「私はビアンカのようには明るくないですし、積極的に誰かをぐいぐい引っ張っていくようなタイプでもありません。ビアンカはすごく天真爛漫で、いろいろな表情のある女性ですし、ちょっと勝気な部分があったりして、自分の中でこれまで見てきた作品で、同じようなキャラクターではこういう人がいたなとか、そういう例をいろいろ集めて、こういう表現にすればいいかなっていうのを考えて臨みました」 国民的RPG「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」を原案に、VFXの第一人者である山崎貴が総監督・脚本を手がけた同作は、声優陣の豪華さが公開前から話題となっている。主人公リュカ役の佐藤健をはじめフローラ役に波瑠、ヘンリー役に坂口健太郎、パパス役に山田孝之、ほかにもケンドーコバヤシ、安田顕、古田新太、松尾スズキ、山寺宏一、井浦新、賀来千香子、吉田鋼太郎と、そのまま実写映画がつくれるレベルの役者を揃えた。 「声優を経験するのはジブリ作品も含め4回目ですが、映画やドラマと役を作る工程は同じでも、それをどう自分の中で表現するかがまったく違います。私がやってきた役は強いキャラクター性があったので、少しだけ意識を自分の中で上げて表現してきました。舞台をやる感覚に近く、ちょっとオーバーめな表現方法でやらせてもらったりしました」