有村架純、実力と向き合う瞬間 いま探す役とは
ジャンヌ・ダルク以来遠ざかっている舞台、やってみたい
舞台といえば、2014年の主演作「ジャンヌ・ダルク」以来遠ざかっている。 「やってみたいです、もちろん。いま、いろいろ観劇して勉強中ですが、舞台って皆さんがそれぞれイメージしながら自己解釈していく作品が多いと思うんです。だから一概にこういう作品が面白いとか面白くないとかって言えないし、私にはわからない部分もあって、どんな舞台をやったら面白いのか考えています。最近、『恋のヴェネチア狂騒曲』を観てすごく笑いましたし、お客さんがこんなに終始笑いに包まれるなんて幸せな空間なんだろう、これがエンターテインメントなんだって勉強になりました。逆に『奇跡の人』のような作品もわかりやすい構成で、誰もが知っている物語だから見やすかったですし、3時間以上も隙間なく全部芝居で埋め尽くされていてもおなかいっぱいにならず、本当にバランスのいい舞台でした」
成人前と「ひよっこ」直後…2度乗り越えた大きな悩み
役者という仕事と真摯に向き合う現在26歳の有村だが、過去2度、大きな悩みの時期があった。一度は成人する直前、もう一度はついこの前、25歳を迎えた頃だ。 「19歳の頃はお仕事をし始めて3年経ち、いろいろな現場に行かせてもらい、視野も広がって楽しかったのですが、楽しいという気持ちが勝り芝居の根底の部分を見失って、わからないままずっとやっていたんです。役のキャラクターの大枠はわかっても、芯となる部分は何かっていうと答えられない。役をつくれているようでつくれていないという感覚で、このままでは中身ぺらぺらなものしか生まれない、何も残せない、と」 そこから抜け出し、20歳のときにはNHK朝ドラ「あまちゃん」という転機になる作品も経験、以後は地道に役者としてキャリアを重ねてきた。 次に迎えた壁が、初めてNHK朝ドラでヒロインをつとめた「ひよっこ」が終わった頃だという。 「ちょうど24歳の冬に『ひよっこ』が終わり、これからどういう作品をやっていこうとか、30歳に向けてどんな道筋をつくっていこうか考え始めたときに、25歳の節目を意識しすぎた部分もあると思うのですが、すごく悩んでしまいました。次にやる役をどうアプローチの仕方を変えれば、また壁を超えてさらなる一歩を踏み出すことができるのかなあって」 そしていまも、役者には向いていないと話す。 「常にそう思います。だってもう、すばらしい作品がたくさんあって、すばらしい演技をされている方がたくさんいらっしゃる。そういう作品に出会うとうらやましいなと思うけれど、自分は出てないよな、オファーもないしな、って……そういう自分の実力と向き合う瞬間がいっぱいあるから。そうなると、お話をいただいたときも、どうして自分にお話をいただけるんだろうってその理由を聞きたくなるし、私は果たしてこの作品で本当に必要なんだろうかとか、いつも考えるんです」