有村架純、実力と向き合う瞬間 いま探す役とは
30歳まで約4年、焦らず大人な役にチャレンジ
しかし、けっして暗くネガティブになっているわけではない。真剣に芝居を考え、芝居に取り組み、冷静に自己分析できているからこそ感じる壁であり悩みのようだ。そんなとき、作品を観た人々の声が有村を支え、励ます。 「作品の評価って、目に見えてわかるものもあると思いますが、やっぱり多くはグレーゾーンじゃないですか、いい悪いって。SNSにコメントをいただく中でも、もちろん悪い意見もあればいい意見もありますが、そのなかで私がいままでやってきた作品で、『この作品すごく大好きです』とか、『ずっと心に残っています、私の中で本当に大切な作品です』って言ってくださる方が一人でも二人でもいらっしゃるんですね。それだけで、誰かの心に残っていればいいっていう思いで、私はこのお仕事をやらせてもらっています。日本中、全員に作品が届くなんてことはあり得ないから、観てくださった方の中でちゃんと残ってくれる作品になってたらいいな、って思いながらやっています」 30歳まで、あと約4年。 「そう考えると『うわー』と思いますが、25歳から30歳という年齢は役が微妙なラインというか、新人でもないし中堅といわれる世代に入ってきますよね。役どころも、ちょっと早いですがお母さん役にも少しずつ挑戦させてもらったりしていきたいなと思いますし。でも無理に大人に振らなくても、ちょっと大人めな役をやったらまた等身大に戻ったり、ちょっとずつ行って戻ったりっていうのを焦らずやっていければいいかなと思っています」
芝居について、終始まっすぐな目線でひたむきに語る有村。名前が売れてきても、慢心のかけらも感じさせない。この真摯さがある限り、女優の階段をのぼりつめていくだろう。 (取材・文・撮影:志和浩司)