子どもの「食物アレルギー」が親の“育児ストレス”増加の要因に!? 日本全国での大規模調査結果
食物アレルギーの治療法とは?
編集部: 食物アレルギーの治療法を教えてください。 山田先生: 食物アレルギーの治療には、原因となる食物を医療機関で血液検査や食物経口負荷試験によって特定し、それを一切食べてはいけないのか、1回摂取量の上限を決めて食べることができるのかを確定しなければなりません。症状が出ない程度の量であれば、摂取した方が治療につながることが知られています。ただし、慎重にやらないと「アナフィラキシー」と呼ばれる重篤な状態を引き起こすことがあります。 最近では、「経口免疫療法」という計画的に摂取量を増やしていく治療法も知られるようになりましたが、元々は症状を誘発させながらでも摂取量を増やしていく、専門の病院でないと危なくてできないような方法です。通院でおこなう場合は、これと同じことをやるわけではなく、経口負荷試験を繰り返しながら安全に食べられる量を増やしていきます。アナフィラキシーのリスクのある子どもの場合には、あらかじめアドレナリン自己注射薬を持ち、万が一の場合に備える必要があります。この注射薬も処方や指導できる医師は限られています。まずは、信頼できる小児科医に相談することから始めてください。
研究グループが発表した内容への受け止めは?
編集部: 今回、国立成育医療研究センターの研究グループが発表した内容についての受け止めを教えてください。 山田先生: 食物アレルギーの症状は重症度の幅が広く、初めて食べたときに口の周りに小さなプツプツが出ただけでも、次に食べたときにはアナフィラキシーということもあり得るため、保護者が心配するのは当然でしょう。また、特に鶏卵という食物は成長期の子どもにとって優秀な栄養素を含み、多くの食品に含まれているので、鶏卵の除去を念頭に入れた食事の準備は大変なのだと思います。さらに、集団保育や学校給食など目の届かない場所での事故も起こり得るため、保育園や幼稚園、学校との交渉も必要になってきます。「医療提供者は、親のストレスにも十分配慮するべきだ」という示唆に富む研究であると考えます。