子どもの「食物アレルギー」が親の“育児ストレス”増加の要因に!? 日本全国での大規模調査結果
国立成育医療研究センターの研究グループは、「子どもの食物アレルギーと親の育児ストレスの関連性について研究した結果、食物アレルギーの子どもを持つ親は、育児ストレスのスコアが有意に高くなった」と発表しました。この内容について山田医師に伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
研究グループが発表した内容とは?
編集部: 今回、国立成育医療研究センターの研究グループが発表した内容について教えてください。 山田先生: 今回紹介する研究は、国立成育医療研究センターの研究グループによるものです。研究成果は学術誌「Allergy」に掲載されています。 研究グループは、日本の大規模調査であるエコチル調査で、子どもの食物アレルギーと親の育児ストレスの関連について検討しました。対象となったのは、2011年1月~2014年3月までにエコチル調査に登録した、北海道から沖縄まで日本全国15の地域の親子で、子どもの数は6万5805人でした。対象となった子どもの7.2%が、2歳時点で食物アレルギーの診断を受けていました。 研究グループが分析した結果、子どもに食物アレルギーの診断があると、親の育児ストレススコアが有意に高くなることが明らかになりました。 食物アレルギーの種類別に分析してみると、鶏卵アレルギーの親の育児ストレススコアが有意に高くなっていました。その一方、牛乳や小麦、ナッツアレルギーでは明確な関係性は認められませんでした。研究グループは、「鶏卵アレルギーが日本で最も一般的な食物アレルギーであり、日本では多くの加工食品や菓子類に鶏卵が含まれているため、親は常に意識する必要があることから、ほかの食品よりもストレスにつながる可能性がある」と指摘しています。 今回の結果について研究グループは、「今回の研究は重症度を考慮した結果ではないので、重症度を考慮したさらなる調査も必要だ。医療提供者は食物アレルギーを持つ子どもの親のストレスに注意を払いながら、日常の診療をおこなう必要がある」と述べています。