「変動ではなく固定」「借り換えは早いと不利」 金利と住宅価格が上昇する今、知っておきたい住宅ローンの新常識
3. 金利タイプは変動金利型→固定金利型
住宅金融支援機構「2024年4月住宅ローン利用者実態調査」によれば、最近では約7割超の方が変動型住宅ローンを選択しているといいます。これまでは低金利が約20年にわたって継続していましたから、金利は当分上がらないだろうという安心感を持てていました。また、それぞれの構造的な理由から利息額には差がありましたから、住宅ローンの正解は、と問われれば変動型というのが答えだったでしょう。 しかし、金利が着実に上昇している今のタイミングであれば、固定金利型が正解だと言えます。なぜなら、金利上昇局面にある今は、経済が通常モードに戻りつつある時、原点に立ち返るべき時だからです。 住宅ローンを利用することは、お金を借りて家を調達するともいえます。お金を借りる際には必ず利息が必要であり、利払いはいうなれば住宅ローンを利用する際の必要経費です。変動型と固定型の違いは、利払い負担額の決定を先送りするのか、前もって決めるのか、という点です。金利が今後どのような動きをするのか、どの程度上がるのかは誰にもわかりません。金利上昇局面では、利息負担が想定よりも増す可能性があり、利払い負担額の決定を先送りすることはリスクです。 もちろん、さまざまな対策を講じた結果、最終的に変動金利型を選択することは個人の自由です。しかし、変動金利型のリスクも理解しておくべきです。固定金利型だと返済が苦しくなる、という理由で変動金利型を選択するのは、もってのほかです。これから住宅ローンを検討するなら、まずは全期間固定金利型での契約が基本です。
内田英子(CFP/FP1級/消費生活アドバイザー/住宅ローンアドバイザー)