机叩いて祈願 「今年こそ黒豆豊作を」 風変わりな法要「堂の講」/兵庫・丹波篠山市
兵庫県丹波篠山市今田町下小野原(69戸)の公民館で9日、ヌルデ(ウルシ科の木)の幹で作った「ゴズエ(牛玉杖)」と呼ぶ杭で机上を激しくたたき、五穀豊穣や無病息災などを祈願する風変わりな法要「堂の講(どのこ)」が営まれた。 同集落の住民約20人が参加。半紙をおみくじの要領で枝に結わえたシキミを上端に飾り付けた長さ約50センチのゴズエと、同じくヌルデでこしらえた長さ30―40センチの細長い棒を手に持ってスタンバイ。祭壇にまつられた地蔵菩薩の木像に向かって経を唱える和田寺の武内泰照住職(56)が、錫杖(しゃくじょう)を振り上げると、住民らはそれを合図に、ゴズエと棒で机上を連打し、「ドドドドッ」というけたたましい音を響かせた。 江戸時代初期にはすでに営まれていたとされる年中行事で、もともとは豊作のほか、虫よけ、雨ごい、牛馬の健康などを祈願していたとされる。机上を激しくたたくのは、願いの強さを表現しているという。 清水勝也自治会長(68)は、「昨年は(丹波篠山市特産の)黒大豆が大変不作だったので、今年こそ豊作になることを強く願い、机を目いっぱいたたかせてもらいました」とほほ笑んでいた。