年収900万円以上になると何が「損」する?高年収になるほど少なくなる「控除」と「手取り」とは
税金の計算をする際、さまざまな所得控除や税額控除が使われます。適用される所得控除の金額は収入によって変わりますが、一定金額以上の年収になると控除される割合が減るため、計算をするときには注意が必要です。 人によっては年収が増えることで、給料から引かれる割合が増えたと感じる場合もあるでしょう。今回は、年収が900万円以上になると減少する控除の種類や、引かれる税額などについてご紹介します。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
年収が900万円超えになったら変わること
所得控除は、年収の高さに応じて上限が定められていたり、控除される金額が低くなったりするケースがあります。いくら変わるのか知っておくと、引かれる税額がどれくらい増えるのかも計算しやすくなるでしょう。 ■給与所得控除が上限に達する 給与所得控除は、社会保険料や税金などが引かれる前の年収を基に計算される所得控除です。年収に応じて控除される金額は変動し、控除上限額の境目は年収850万円となっています。 国税庁によると、年収660万1円~850万円の範囲では給与所得控除額は「収入金額×10%+110万円」ですが、850万円を1円でも超えると一律で195万円です。そのため、900万円以上に年収が増えても控除額が変わらず、税額負担が大きく感じるケースがあります。 ■配偶者控除が低くなる 配偶者控除は、本人と生計を同じくする配偶者の合計所得金額が年間48万円以下、給料のみを受け取っているなら年収103万円以下だと適用される所得控除です。本人の合計所得金額で適用される控除額が異なります。 合計所得金額とは、給与所得や事業所得など総合課税の所得に、退職所得金額や山林所得金額を合計した金額です。所得税における合計所得金額ごとの控除額は以下のようになります(一般の控除対象配偶者の場合)。 ・900万円以下:38万円 ・900万円超950万円以下:26万円 ・950万円超1000万円以下:13万円 なお、住民税における配偶者控除では一般の控除対象配偶者の控除額が最高33万円など、所得税の配偶者控除と金額が異なりますが、本人の合計所得金額が900万円を超える場合には同様に控除額が減少していきます。