「危険なホクロ」はどう見分ければいい?
この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください! ●「ホクロと皮膚がん」に関する問題 【問題】体にできたホクロを見て「皮膚がんではないか?」と心配になることがあります。では、次のうち注意すべきホクロはどれでしょう? (1)生まれたときからあるホクロ (2)中年期以降にできたホクロ (3)急に大きくなったホクロ
正解は、(2)中年期以降にできたホクロ、(3)急に大きくなったホクロ です。 ●「つい最近できた、どんどん変化している、サイズが大きい」は注意 私たちの体にあるホクロ。皮膚がんの中には見た目がホクロに似たものがあり、自分のホクロが「もしかして皮膚がんでは?」と心配になることもあるでしょう。 ホクロは皮膚に母斑細胞が集まった良性の腫瘍で、医学的には「色素性母斑」と呼ばれます。ホクロと見た目が似ている皮膚がんには「メラノーマ(悪性黒色腫)」や「基底細胞がん」があります。 では、どんなホクロだと皮膚がんの可能性があるのでしょうか。東京医科大学八王子医療センター教授で皮膚科診療科長の梅林芳弘氏は、こう話します。 「幼いころから存在していたホクロであれば問題ないことが多いと言っていいでしょう。ほとんど安全なのは、生まれたときからあるホクロです。つまり重要なのは開始時点で、中年以降になって『つい最近できた』というホクロは悪性の可能性が出てきます。30代からホクロが生じた人より、60代で生じた人のほうが皮膚がんの可能性が高くなるわけです」。 ホクロの一部が盛り上がってきた、大きくなってきたなどの「形状の変化」にも注目しましょう。「ホクロでもがんでもゆっくり大きくなることはありますが、特に急激に変化しているものは悪性の可能性があります。あとは大きさです。つい最近できたホクロだとしても、小さければ大抵は問題ありません。しかし、ある程度の大きさになっていれば、それはどんどん増殖していることを意味します。例えば、足の裏や手足の指に出ることが多い、メラノーマ(悪性黒色腫)です。直径6~7mmを超えるかどうかが1つの診断の目安となるので、大きなホクロほど怪しいと考えていいでしょう」(梅林氏)。 このように、「つい最近できた、どんどん変化している、サイズが大きい」、この3つが皮膚がんを疑うポイントです。ただし、この3点を満たさないのに皮膚がんと診断されることもあります。絶対に大丈夫というお墨付きをもらうためには、専門の医療機関で詳しく検査する必要があります。 皮膚科では、医師が触れたり目で直接見たりするのに加えて、「ダーモスコープ」という特殊な器械で詳しく観察します。「ホクロを見るときは、色の濃淡があるかどうかも大事です。ホクロの発生時期や大きさであれば一般の方でも比較的簡単に数値化できると思いますが、色ムラの判別は難しいでしょう。前述した3つの条件に引っかかるのであれば、一度皮膚科にかかることをお勧めします」と梅林氏は話しています。 ※この記事は、「イボやシミは放置していい? 『危険なホクロ』の見分け方は」(田中美香=医療ジャーナリスト)を基に作成しました。