大谷はなぜ開幕戦で敗れたのか? その裏にあったロッテのデータ戦略
プロ野球がセ、パ同時に25日に開幕。QVCマリンで行われた千葉ロッテ対北海道日ハム戦では、昨季投手3冠を獲得した大谷翔平(21)が、ロッテ打線に初回に攻略され、2年連続開幕勝利を逃した。なぜ大谷は敗れたのか。その背景を探った。
怪物にも隙はある。 ロッテには大谷の攻略データがあった。 試合後、破願の伊東監督がキャッチャー出身の監督らしいネタをばらす。 「立ち上がりを叩くしかなかった。初回はストレートとフォークが多く、2回以降にスライダーを混ぜてくるという情報があった。その通りになった。スミ3というか、2回以降は変化球でストライクが入りだした。3点を良く取れたという感じだ」 大谷翔平の2016年のシーズンの初球は、155キロのストレートだった。オープン戦での1番戦争を勝ち抜いた岡田幸文(31)は「ストレートを狙っていた」という。「振り負けないように」と、スイングしたが、打球は前には飛ばない。簡単にカウントをとられたが、次の1球が、綻びの始まりとなった。 フォークがワンバウンドしたのだ。 「フォークを引っ掛けていた。もう真っ直ぐしかないと思った」 続くストレートは160キロを示し、バットに当たらなかったが、4球目の同じく160キロのストレートを岡田は、思い切り叩きつけた。大きく弾んだ打球は、ジャンプした大谷のグラブの先にあたり、三塁の前に転々とした。その間に、岡田は俊足を活かす。 2番の高濱卓也(26)が初球に送りバントを綺麗に決めた。 「高濱は、あんな速いボールをバントした経験はなかったと思う。不安はあったんだが一発で決めた。あれでいい流れがきた」とは、伊東監督の回想。得点圏に走者を送り、清田育宏(30)は三振に倒れたが、今季は開幕からやって来た4番のキューバ人、デスパイネが、データ通りの“初回のフォーク”をセンター前へクリーンヒット。先制のタイムリーである。 「フォークかどうかは別にして変化球を狙っていた」 チケットが完売となった満員のQVCマリンが大谷退治にワイワイと活気づく。 角中勝也(28)が四球でつなぎ二死一、二塁で、“アジャ”こと井上晴哉(26)が打席へ。2年前の開幕戦でルーキーながら4番に抜擢されたが、その後、怪我などもあってプロの壁にぶちあたり、2軍暮らしが続いていた苦労人である。初球のフォークを見送ったが、そのとき「ストレート狙いで打席に入っていたんですが、フォークが甘かったんです。それが頭に入っていたので、2球目に同じようなフォークが来てタイミングが合ったんです」という。落差の鈍い“初回のフォーク”を思い切り引っ張ると、打球は、レフト線を深々と破った。二者が生還。スコアボードに重い3点を刻む。 開幕戦の打のヒーローとなった井上は、「2年前と違って打席に入るときに“よし!”と、やれそうな感じがありました。経験ですね。怪我をして、トレーニングをする中で自分の弱さに気づき、それが自信につながった。どっしりと構えることができました」と、しみじみと語った。