大谷はなぜ開幕戦で敗れたのか? その裏にあったロッテのデータ戦略
まさに虎の子の3点を投手陣が守る。大谷と昨季最多勝をわけあった先発の涌井秀章(29)が7回を投げて4安打7奪三振無失点の気迫に満ちたピッチング。残り2イニングを大谷智久(31)、内竜也(30)、西野勇士(25)と、つなぎ、なんとか3-2で逃げ切った。 試合前には、伊東監督が選手を全員ロッカーに集めて、「今年1年、いいことも悪いこともあるだろう。ただ、ここにいない2軍のメンバーの代表としてプライド、自信、感謝の気持ちだけは忘れないでプレーしてもらいたい」と語り、一人ひとりと熱い抱擁を交わしたという。 「例年は、握手なのに今年はハグでした。みんなの目つきがかわって、やるんだ!という引き締まった顔になったんです」と岡田。指揮官が高めた一体感と、“初回フォーク”のデータ野球が、開幕というビッグゲームでの大谷攻略につながったのである。単なる143分の1試合の勝利ではない。 千葉ロッテOBで評論家の里崎智也氏も、「初回に大谷が崩れた原因は、緩急を使わなかったこと。ストレートとフォークというパワー系の配球に頼ったため、なおさらそれがピッチングの力みに変わり下半身主導の動きができずにコントロールを乱した。もう少しカーブ、スライダーというボールを初回から使って良かったと思う」と、大谷敗戦の理由を分析した。 試合後、日ハム広報の理路整然とした取材の仕切りで、何重ものメディアに囲まれた大谷は、淡々と敗戦の弁を語った。後ろの方から耳を傾けると聞き取れないような声だった。 「2、3イニングまでテンポがよくなかったです。どのカウントからのボールも高かったと思う。1点(失点)で終えておかねばならなかったのに、その後にいらない点数がありました」 ――テンポが悪いからコントロールが悪かったのか? 「テンポが悪いとコントロールが悪いは決してイコールではないのですが、僕の感覚の中でズレがありました。結果的にいい感覚になれなかったんです。最後まであまりよくありませんでした」 ――開幕のプレッシャーだったのか。 「開幕のプレッシャーかどうかはわかりませんが、初回というのは難しいものです。先頭打者……しっかりと取ることをしていないとああなるんです」