大谷はなぜ開幕戦で敗れたのか? その裏にあったロッテのデータ戦略
大谷はコントロールの修正に、“ライン”と言われる打者に対して真っ直ぐ向かっていくゾーンの中から、体の動きがぶれないことを試みる。その作業中には、どうしてもストレート、フォークという腕を縦に強く振る、縦系の配球になりがちである。コントロールの定まらないケースが多い立ち上がりに、ストレート、フォークの配球が増えるのは、ある意味必然だったのだが、そのデータを利用して、打ち損じることなくプロらしい技術で仕留めたロッテ打線はあっぱれだろう。野球は100パーセントがないドラマである。 それでも大谷はKOされたわけではない。二回以降は、2安打で計9奪三振。7回を3失点(自責点は2)にまとめてクオリティスタートはキープした。前述の里崎氏も、「7回3失点です。先発投手としては合格ですよ。彼が、今年も貯金10(昨季は15勝5敗)は作るという見立てになんら変わりはありません」と、大谷の評価自体が下がったわけではないことを強調した。 「切り替えて次に(今日の失敗を)活かしたい」 大谷は、そう言った。 次戦は4月1日のソフトバンク戦の予定。2年連続開幕勝利は逃したが、リベンジの舞台はすぐにやってくる。それがペナントレースである。試合前、日ハムの広報の配慮でベンチを覗かせてもらったが、栗山監督は、「今、開幕を前にしてプロ野球ができることを幸せに思う」というような話をしていた。ロマンチストの栗山監督らしい表現だが、グラウンド外の黒い話題ばかりが先行しているが、奥深くて、そして面白く、それぞれの人間ドラマが散りばめられたプロ野球の世界が、開幕したのである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)