40代、50代の気持ちがラクになる「幸福学」講座/自分を幸せにすることに、罪悪感を覚えてしまうのはなぜ?
生きがいは、焦って探すほど見つからない
――お悩みの方も、推し活をしている友人が楽しそうでうらやましい、と書かれているのですが、私も自分の推し活話をすると、「私も推しをつくりたい」と言われることがあります。でも、気づいたらハマっていただけなので、答えに詰まってしまって。 目的がちょっとズレてしまっていますね(笑)。幸せとは、まさに探そうとすると見つからない、青い鳥なんです。生きがいが見つけられない、趣味や推しが見つからない、と思っている人は、まず見つけることにとらわれないようにしましょう。 僕の妻はずっと子育てに専念していました。社会参画していないことから、やりたいことを見つけたいと言い続けていたんですよね。で、子育てが一段落してからも、やりたいことが見つからないと悩んでいました。 ――そうなんですか!? ええ。妻も普通の悩める主婦だったんですよ。それであるとき、幸福学を一緒にやってみないかと誘ってみたんです。すると、自分がやってみたかったのはこれだ!となって、今は一緒に本を書いたり、活動したりしています。生きがいが見つかって、本当によかったと思いますが、そこはどんな人も紙一重だと思います。 ――先生のパートナーも同じだったと伺うと、希望が湧いてきますね。 すぐに何かを見つけようと焦る必要はありません。ワクワクしながら、新しい趣味や活動、コミュニティにちょっと入ってみて、合わなかったらやめる。その繰り返しを楽しめばいいんです。そして、「あの人は楽しそうだけど自分は…」と、人と比較しないことも大事ですね。そもそも生きがいを感じる内容は、人によって全然違うわけですから。
【教えてくれたのは】 前野隆司さん 慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授兼武蔵野大学ウェルビーイング学部長。1984年東京工業大学卒業、86年同大学修士課程修了。キヤノン株式会社入社、カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、慶應義塾大学理工学部教授、ハーバード大学客員教授等を経て、2008年より慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授。2024年より武蔵野大学ウェルビーイング学部長兼任。研究領域は、幸福学、イノベーションなど。 イラスト/midorichan 取材・文/井尾淳子