熱闘甲子園プロデューサー塩浜さん「努力・葛藤伝えたい」
こだわりのカメラワーク、努力・葛藤描きたい
そして、こだわりはカメラワークにもある。「カメラにかんしては、どこよりも厚く、プレーで起こったことも描きますが、その1つ1つのプレーで例えばミスをおかした選手がどんな思いなのかを描くんです。『あっ』と思った瞬間、そういう表情の奥というのはどういうものか、といったことなんかを」 音も含め、ベンチの声、土を集めるシーンも精度をあげ、より球児たちの「ニオイ」や「温度」も伝えたい。よりそこに近いものとして、すすり泣く音などをとることも追求しているという。そうしたことから熱闘甲子園らしさを生み出しているという。 また、甲子園アルプススタンドの様子を伝えることも大切な仕事のひとつだ。「高校野球は独特ですね。甲子園のアルプススタンドは各地方の代表ということで、うちの中継でもそうなんですが、アルプスに故郷がつまっているんです」。甲子園で両サイドに分かれ、代表として来てくれているということに、球児たちが背負うものもすごいと思うと塩浜さんは語る。 グラウンドのプレー一つひとつも大事だが、人と人とのつながりであったり、すごく感じるのは、その年の夏で1校しか勝てない。言わば、ほかはみんな敗者となってしまう。優勝したチームでさえ、レギュラーになれるのは1チームだけだ。 スタンドにまわる選手にも、様々な人生がつまっている。「勝ち続ける人間はいないんです。。そして共感できる。敗者の美学じゃないんですが、そういうところの、なんて言うか『努力』『葛藤』みたいなところを番は大事にしています。描きたい、こだわっているところですね」。 自身も1男2女の父親。真ん中の長男は、サッカーがやりたくて静岡県内の妻の実家へ行き、中学校から入学。現在もサッカーを続けているという。「中学校から出すのはどやろ、とか思いましたが、夢を求めて行ってるんで。離れ離れでやってるけど、今も頑張っている。高校生になったら、僕も今のアルプスのような感覚を味わうことになるんでしょうね」