IGZOとの融合、MEMSディスプレーって何?
ディスプレーの開発は日進月歩。新製品に買い換えるたびに、なんとなく画面がきれいになったような気がしますが、「具体的にどう変わったか?」と聞かれても、技術的なことはサッパリわからない…という人が多いと思います。シャープが米Pixtronix 社と共同開発しているMEMSディスプレーの試作品が先日公開され、大きな話題となりました。このMEMSディスプレーには、どのような技術が使われて、どのようなメリットがあるのでしょうか。
従来のディスプレーとまったく異なるメカニズム
従来の液晶ディスプレーでは、スポーツなど高速で流れる映像を見るときは、どうしてもブレが気になりました。通常の液晶ディスプレーが1秒間に表示できるコマ数は、60コマ程度。いっぽうMEMSディスプレーは、1秒間に300コマ以上に相当する円滑な画像を表現できるといわれています。 MEMSとはMicro Electro Mechanical Systemsの略です。ざっくり言うと、シリコン基板やガラス基板に、可動部品や電子回路を載せた「非常に小さな機器」のことを指します。インクジェットプリンターのインク噴出部分(ヘッド)など、私たちが日常的に使っている製品にも活用されている技術です。 ブレのない円滑な画像を表現するカギとなるのが、1秒間に1000回を超す開閉をおこなうMEMSシャッターです。高速で点滅するバックライトと同期するようにシャッターが高速開閉し、赤・緑・青それぞれの色の光が透過する量を加減することで、画面に表示する色をつくり出すという仕組みです。 従来の液晶ディスプレーは、カラーフィルターや偏光フィルムといった光学部材でLEDの光を通したり、遮ったりしていました。このため、輝度が低下するなど発色に問題がありました。MEMSディスプレーは、こうした光学部材を使わず、シャッターを使って直接的に光を届けるため、より鮮明な色彩を表現することができるのです。