海外ロボコンに見る世界と日本のSTEAM教育の差
「“オタク”はこんなにカッコ良い!」世界レベルの圧倒的“青春”がそこに
人生初ハワイにして単身渡航、現地で調査チームの方々と合流して会場に入ると、アリーナには当然のように巨大な天吊型のディスプレイ、アメリカ・インド・台湾・日本など世界各国から集まったチームのブースに人がひしめき、爆音でダンサブルな音楽が流れています。大会当日には各チームがお揃いの衣装(中にはコスプレも)、応援する時には日本ではありえないくらい全力でみんなが声援を送るため、席によっては鼓膜が破れるかと思ったほどでしたが、それほどにみんなこの大会に全てを賭けて挑んでいるのだなと震えました。 日本からその時3チームが出場しており、インタビューをさせてもらいました。海外では学校のクラブ単位で出場しているチームが多い中で、日本ではエリアごとのコミュニティ単位で出場しているケースがほとんど、大会参加資金も100万円程度必要であることから(支払うと基本的な部品などが届きます)、ロボット製作費やチームメンバーの渡航費、その他活動費を含めて自分たちで数百万円を企業などから資金調達することで活動を続けているとのこと。そうした経験を積んできたせいか、どの学生たちも「日本の宝」と言えるような子たちでした。 海外勢には1億円以上調達するチームもあり、国費で活動が支えられているチームもある中で、「日本ももっとこうした場に若者が参加しやすい社会環境になっていかないと国際的に立ち遅れていきそうだな」という感触がありました。 肝心の大会の様子ですが、ロボコン大会では珍しい各国入れ替わり立ち替わりで組まれる3チーム対3チームの対決で、50kgを超えるような大きなロボットで毎年のテーマに沿ったお題(私が見に行った時はコーンや風船を集めて特定の場所に配置することやポイントゾーンに登ることで点を競っていました)を協力してクリアするというものです。 試合ギリギリまでブースでロボットの調整をして(足りない部品や困ったことがあると他チームと助け合う文化があります)、英語などを用いて各国のチームと緊迫感あふれる様子で戦略を練り試合に臨みます。3チームで協働できた時のボーナス点や、倒れたロボットがアームで再度立ち上がった時など、会場そのものが歓声に包まれ一気にボルテージが上がります。 日本では機械いじりやロボットが好きというとオタクだと揶揄するような風潮があることもありますが、そこにいるのはそんなことなど意にも介さず、自分がやりたいことに夢中になるカッコ良いオタクたちの姿でした。FRCではロボットの技術や強さだけでなく、資金調達などのチーム運営や、アウトリーチと呼ばれる自分たちのポテンシャルを活かした社会貢献活動などの実績によっても評価をされます。こうした特徴から、技術的視点と社会的視点とが結びついた広い視野を持った若者がこの大会を通して育てられているのだと思います。