トクホと違う?「機能性表示食品」 安全性はどう担保
「目の疲れを和らげる」「脂肪の吸収を抑える」――。 食品の機能性をうたえる新たな食品表示制度「機能性表示食品」が今年4月1日にスタートしました。これは、特定保健用食品(トクホ)や栄養機能食品に続く第3の表示制度です。6月からは、機能性表示食品の商品が市場に登場し始めています。しかし、すでにいくつかの商品について、消費者団体などから効果や安全性を疑問視する声が消費者庁へ提出されています。 機能性表示食品とはどのような制度なのか、なぜ第3の表示制度がスタートしたのか、そしてその安全性はどのように担保されているのか。改めておさらいしてみましょう。
トクホ、栄養機能食品との違い
機能性表示食品は、メーカーの自己責任において、科学的根拠に基づいた食品の機能性(健康や栄養に関する表示)を体の特定部位とあわせて表示できる制度です。メーカーは消費者庁に安全性や機能性の根拠となる情報を届け出ますが、これは同庁の審査を受ける必要がありません。つまり、書類に不備がなく、受理されれば、企業側のウリ文句を記載した商品を販売できるのです。7月1日時点では、キリンビールのノンアルコール・ビールテイスト飲料「パーフェクトフリー」や、雪印メグミルクの「恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルト100g」など、48製品が受理されています。
従来、食品に含まれる成分の有効性について表示できるのは、トクホと栄養機能食品のみでした。しかし、トクホは国のお墨付きを得られる代わりに、その申請に膨大な時間や費用を要します。また、栄養機能食品は、すでに科学的根拠が認められた栄養成分を一定の基準量を含む食品であれば届け出なく表示できるものの、対象はビタミンやミネラルなどに限られ、決められた表現しか使えません。 同制度はこういった課題を解消し、トクホよりも敷居が低く、栄養機能食品よりも表現の自由度が高いのが特徴です。たとえば、「肌の保湿力を高める」「緊張感を軽減する」というように、トクホでは認められていない目や皮膚、脳といった具体的な体の部位について言及でき、さらに疲労やストレスといった主観的な症状への効果も明記できます。そのため、消費者はいままで以上に具体的な効き目を分かりやすい言葉で知ることができ、自分にとって役立つ商品を選びやすくなるというメリットがあります。 また、対象はサプリメントや加工食品、飲料に限らず、野菜や魚、肉などの生鮮食品も同制度の適用範囲内になります。