日銀・黒田総裁会見9月19日(全文3完)次回は経済物価状況を点検したい
中央銀行の独立性は脅かされていないのか
朝日新聞:朝日新聞の原です。先月、FRBの歴代議長4人がウォール・ストリート・ジャーナル誌に、中央銀行の独立性が脅かされている、これを守れという異例の提言を起稿したわけですけれども、これについて総裁がどんなご感想をお持ちかということと、もう1つは、日銀は今、そういう独立性っていうのは脅かされていないのかということについて、総裁のご見解を伺えますでしょうか。よろしくお願いします。 黒田:私、たまたまその4人の方にも面識がありまして、今回の4人の方の署名された文章について何か話したことがあるわけじゃないんですけれども、従来から面識がありまして、それぞれ中央銀行総裁として立派な功績を挙げた方ですし、皆さん十分、ご総裁として、あるいはエコノミストとして立派な方であるっていうことはいえると思います。 ただ、具体的に今回の米国におけるこういうことが出されたコンテキストとか、その下でこの4人のおっしゃるとおりであるとか、何か本当、私から申し上げるのもちょっとせんえつだと思いますので、その点は特に申し上げるのは避けたいと思いますが、日本銀行について今、何か独立性、これは日本銀行法できちっと書かれているわけですけども、それに対して何か危惧があるとか、独立性を損なわれる恐れがあるとか、そういうことはまったく考えておりません、感じておりません。 朝日新聞:よろしいでしょうか。いいですか。ほかに質問よろしいですか。あと5分ぐらい。
中東情勢の現状をどう評価しているのか
テレビ東京:よろしいでしょうか。テレビ東京の滝田です。僕がしたい質問は、今日ちょっとまったく出なかったんで、2点ほどお伺いしたいと思います。1点は中東情勢ですね。ひとまず沈静化したとはいえ、サウジの石油施設に対して攻撃が加えられて相当大きな被害が出たということがありました。今後、第2弾の攻撃がなされるリスクというのも関係者は相当意識してると思うんですけれども、日本銀行として中東の原油リスクも含めた現状をどういうように評価されてますでしょうかというのをまず1点、お伺いしたいと思います。区切って質問したほうが良いでしょうか。続けてでよろしいですか。それでは続けてお伺いします。 2点目は、アメリカの短期金融市場についての質問をさせていただきたいと思います。今回、FOMCで、利下げをする直前の段階で、アメリカのレポの市場では相当緊張が走って、一時、レポ金利、翌日は本当に10%まで跳ね上がっていると思います。その背景というのはどういうところが一番大きいというふうにお考えでしょうか。1つの要因としては、やはり7~9月期の財政のファイナンス額が非常に膨らんでいる、財政問題が短期金融市場に反映してるんじゃないかという指摘もあると思いますが、その辺を含めてご所見を伺えればと思います。以上です。 黒田:なかなかいずれもお答えしにくいご質問なんですけども、中東情勢につきましては、確かにサウジアラビアの石油施設が攻撃されて一部停止するというようなことで、地政学的なリスク緊張が高まっているということは、そのとおりだと思います。そうした下で足元の原油価格はいったん非常に上がって、今、少し落ち着いていますけども、それでもひところよりも高い水準になっております。日本銀行としてはこういった中東における地政学的リスクが原油価格、あるいは世界経済とか国際金融市場に与える影響については引き続き注視してまいりたいというふうに思っております。