今日プロ野球開幕…球界大御所が「阪神と楽天は優勝できない」と“ダメ出し”…その理由とは?
広岡氏が批判するのは矢野監督の一貫性のない起用法だ。昨年も開幕スタメンから大山は外されサンズは2軍。キャッチャーも開幕3連戦で日替わりだった。監督3年目の今季は、そういう反省を生かすはずだが、広岡氏は否定的。まだ監督3年目の矢野監督と、リーグ優勝9度、日本一3度、通算1091勝で、巨人の川上哲治氏、長嶋茂雄氏の記録を抜き、球団歴代最多勝利となった原監督を比較するのは酷というものだが…。 ただスーパールーキーの佐藤は高く評価した。 「遠くへ飛ばす力があるのは魅力。加えてオープン戦では甘い球を見逃していなかった。当然、公式戦に入るとバッテリーの配球は変わってくるし、研究されデータも出てくるだろう。内角も厳しくいかれる。だが、失投を見逃さず仕留めたバッティングは評価したい。我慢して使えば成長の期待できる打者だ」 さらに広岡氏は、「近本、大山はいい。チーム力としてはあるんだ」とも言う。 セ全体の展望に関しては、こんな見解を持つ。 「巨人、阪神、中日の上位3チームと、広島、横浜DeNA、ヤクルトの下位3チームに分かれると思う。中日は得点力がないが、与田が、投手陣を先発も後ろもしっかりとまとめつつある。外国人がこない影響はあるが、こういうチームは地味だがトータルで見ると上を狙える位置をキープできる。広島はなんでここまで打てなくなったのか?と思えるほど打線に問題あり。外国人頼みだった横浜DeNAは、ソト、オースティンがいないのは致命傷だ。ヤクルトはあの戦力では最下位を抜け出せるかどうか」 セの開幕カードは巨人ー横浜DeNA、ヤクルトー阪神、広島ー中日となっている。
一方、パの予想でも、広岡氏は「ソフトバンクは圧倒的に勝つだろう。楽天は優勝できない。むしろロッテ、オリックスが面白い」と、ヤンキースから田中将大が復帰して一気に優勝候補として浮上している楽天をバッサリと斬った。 「ソフトバンクと楽天の違いも巨人と阪神の違いと同じ。監督の差だ。石井は監督1年目で、その手腕は未知数だから、まだなんとも言えないが、そもそもGM兼任監督が成功するわけがないというのが私の考え。田中にしても最後までストレートに往年の力というものを感じることができなかった。投球術があり、もちろん結果は出すだろうが、24勝0敗だった8年前のように貯金を稼ぐ投手になれるかどうかは疑問で、まして彼一人で優勝はできない。過去の実績では、涌井、田中、岸、則本の4人は立派だが、額面通りにいくかどうか。早大の後輩、楽天のルーキーの早川には期待しているが、オープン戦ではバッターのタイミングに合うような投球フォームになっていた。対してソフトバンクの工藤は、選手に嫌われる監督になった。これは工藤の信念の裏返しだ。私も監督時代は選手に嫌われた。古い話になるが、巨人の川上さんもそうだった。選手層も含めてソフトバンクは圧倒的だ」 楽天のオープン戦成績は6勝6敗で5位。岸、則本は順調に調整を進めたが、開幕投手に指名された涌井は19日のヤクルト戦で4回途中8失点と炎上した。“マー君効果”の期待された投手陣のチーム防御率も3.98(全体10位)と冴えなかった。だが、一方で島内が打率.400で“首位打者”を獲得、辰巳も打率.385とブレイクするなど打線は活気づいた。日ハムとの開幕3連戦には涌井、マー君、新人の早川の3本柱をぶつけて開幕ダッシュを狙う。 優勝予想されたソフトバンクは、千賀、東浜の2枚看板が開幕に間に合わない。昨年はMVP級の活躍をしたセットアッパーのモイネロも調整不足で開幕1軍から外された。オープン戦の最終戦で敗れて勝率で阪神に抜かれて2位に終わったが、チーム防御率の2.09はトップ。得点力にも不安は残ったままだが、日本一チームのゲーム運びで負けなかった。 「ソフトバンクを追うのは楽天、ロッテ、西武、それとオリックスが面白い。山本、山岡、田嶋にプラスして若い左腕(宮城)が出てきているし抑えに平野が戻りピッチャーが揃ってきた。得点力をアップできれば上に来るだろう」というのが広岡氏の見立てだ。 パの開幕カードはソフトバンクーロッテ、楽天ー日ハム、西武ーオリックスとなっている。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)