日本ハム・宮西尚生 新球習得で返り咲いた17年目の鉄腕/復活を遂げた男たち
鉄腕は進化してプロ野球の最前線へ帰ってきた。プロ17年目の宮西尚生にとって、2024年シーズンは復活の1年となった。開幕は二軍スタートだったが、交流戦最終戦の6月18日阪神戦(甲子園)で今季初昇格。ハグで出迎えられた新庄剛志監督からは一軍合流前にインスタグラムで「甲子園から上がるから」とDMが来た。「頑張ります」と返信すると「頑張らんでいい。楽しめ」。その文面を見て不思議と心が軽くなった。 【選手データ】宮西尚生 プロフィール・通算成績・試合速報 08年のルーキーイヤーから、セットアッパー界の先頭を走り続けてきた。21年まで14年連続で50試合以上の登板を重ね、積み上げてきたホールド数は日本一。その分、記録が途切れた22年からの2年間は苦しかった。二軍暮らしも長く、引退も頭によぎったが、若手の前では練習から手を抜くことだけはしなかった。「自分の立場で、腐った態度でファームで終わったら人として終わるなと思った」。最高のお手本であり続ける中で、厳しい世界に生き残る新たな術も身に着けたところが生けるレジェンドたる由縁だ。 今季はチェンジアップを習得。直球とスライダーのコンビネーションに新たなバリエーションが増え、気付けばセットアッパーに返り咲くほどの安定感を取り戻した。8月4日のソフトバンク(みずほPayPay)戦では前人未到の通算400ホールドを達成し、通算登板数は歴代単独4位まで浮上。復活イヤーに、あらためて実感したのは「あとは、みんなで喜び合いたい」。これまで3度のリーグ優勝、1度の日本一を経験したが、再び美酒を浴びるまで、ユニフォームは脱げない。 写真=BBM
週刊ベースボール