「1ミリも伝わらない」信頼全部失う残念な話し方 頭に入る話の絶対条件は「キーワード」と「接続」
■本田圭佑氏の名スピーチ ひとつ事例をご紹介しましょう。元サッカー日本代表であり、サッカー指導者、解説者、実業家として活躍されている本田圭佑さんの事例です。 本田さんは2023年3月18日、近畿大学の卒業式にゲストスピーカーとして登壇し、卒業生にエールを贈りました。 結果を出し続けている人であり、かつ伝える力があることが登壇の理由でしょうか。私も拝聴しましたが、実に知性ある話し方をする方だと思いました。その一部を(本田さんの発するすべての言葉をリスペクトしたうえで)究極まで要約して表現します。
“欲望を解放しろ” “限界を決めるな” ↓(さらに) “環境にこだわれ” ↓(以上より) “いつかは死ぬ”“生きたいように生きろ” この要約にはキーワードと接続詞しか存在しません。しかしこれだけの情報さえあれば、スピーチを聴いていない人でもどんな内容だったかは十分に伝わるはずです。 なぜ私がこの要約が可能であったかというと、キーワードと接続詞の存在だけに注目して本田さんの話を聴いたからです。 そういう意味で、私がこのように要約できるようなフレーズを本田さんがしっかり用意していることも心憎いなと感じました。
私はこのようにキーワードと接続詞だけで要約できる話し方を、「数学的な話し方」と呼び、ビジネスパーソンの皆様に推奨しています。 数学とは論理を使って主張が正しいことを論じる学問であり、その基本は次のような型です。 ある数aは偶数である ↓(さらに) ある数bも偶数である ↓(以上より) 数(a+b)も偶数である 先ほどの本田さんの話と、まったく同じ構造をしていることに気づいていただけるでしょう。まるで数学のように無駄なコトバを一切使わず記述できる。これが数学的な話し方です。
本田さんが学生時代に数学の勉強をされたのかはわかりませんが、その話し方は極めて数学的であり、間違いなく本田さんはあの場で数学をしていました。もしご興味ある方はぜひ実際の映像をご覧いただきたいと思います。 ■とにかく「キーワード」と「接続詞」で考える まとめましょう。対照的な2つの例を挙げることで、「要約された状態」と「要約できる状態」の使い分けについて整理します。 「要約された状態」が求められるシーン