【大学野球】春秋連覇まで「あと1勝」早大は慶大1回戦で大敗も練習の成果を神宮で発揮するだけ
指揮官が語った2つの敗因
【11月9日】東京六大学リーグ戦第9週 慶大9-1早大(慶大1勝) 春秋連覇まで「あと1勝」。 早大は慶大1回戦で大敗した。あくまでも、机上の星勘定である。仮に慶大2回戦で連敗すると、先に全日程を終えた8勝3敗2分け、勝ち点4の明大と並ぶ。早慶戦から中1日を置いての優勝決定戦へと持ち込まれる。 つまり、早大は3試合のうちで1勝すれば良い計算である。ただ、現場はそれどころではない。1回戦先勝で決めたいところだった。小宮山監督は、2つの敗因を語った。 「一つ勝てば優勝のところで、何が何でも取りたい。気合が空回りした。明日は自分たちの足元を見つめて、1年かけてつくってきたものを多くの人に見ていただけるように、そういう野球をしていきたい」 早慶戦は別物、と言われる。早大がV目前に対して、慶大はすでに5位が決まっていた。あまりに対照的なチーム状況。昔から伝統の早慶戦は「不利なほうが勝つ」との言い伝えもある。小宮山監督は明かした。 「我々は勝てば優勝。あちらは順位が決定している中で、来年も見据えて、若い選手を使ってくる。失うものはないので、思い切った野球。相当な怖さがあった。競り合いを落とすよりは、大敗のほうが対策は練りやすい」 今季6勝無敗の右腕エース・伊藤樹(3年・仙台育英高)が7回5失点で敗戦投手となった。今春を通じても、2024年初黒星だった。 「相手投手が良いので、ロースコアに持ち込めなかったのは、僕の責任。この2週間で対策してきましたが、慶應さんも準備している。そこを踏まえて明日、明後日と自分のピッチングを、相手打線に向けて投げていきたい」
0対9と大量ビハインドで迎えた9回表、早大は意地の1点を返した。考え方からすれば「明日につながる1点」と受け止めることもできるが、小宮山監督は「1点を取って、云々を言っている場合ではない」と一蹴した。 正捕手で主将・印出太一(4年・中京大中京高)は前を向き、冷静に振り返った。 「チームとしては大敗したが、集団として、この負けをどうとらえていくか、違ったチーム力が試される。優勝がかかった一戦。立て直して、明日こそ決めたい」 追い込まれたときこそ、もう一度、落ち着いて、原点に立ち返るべきだ。早稲田の野球とは、何か。早大の初代監督・飛田穂洲氏の教え「一球入魂」。目の前の一球に集中することが、次の展開へつながる。一球を大事に積み重ねた先に、結果がある。小宮山監督はかねてから「秋の早慶戦で、完成形にする」と言ってきた。安部球場で取り組んできた練習の成果を、神宮球場で発揮するだけである。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール