ドルのヘッジコスト急上昇、22年以来の高水準-大統領選リスクに備え
(ブルームバーグ): 来週の米大統領選の後に市場が大きく動くリスクに備え、ドルの変動をヘッジするコストが約2年ぶりの高水準に急上昇した。
ブルームバーグ・ドル・スポット指数の1週間物インプライドボラティリティー(IV、予想変動率)の指標は30日に上昇し、金融市場に一時的にリセッション(景気後退)懸念が広がった2022年12月以来の高水準となった。これはトレーダーがユーロや円、人民元、メキシコ・ペソなどの主要通貨に対し大幅な変動に備えていることを示しており、そうした変動をしのぐオプションのコストを押し上げている。
バークレイズの通貨ストラテジスト、スカイラー・モンゴメリー・コーニング氏は「選挙は為替市場にとって二分する出来事であるため、選挙をヘッジする為替取引の需要が高まっている」と指摘。ペソや元、韓国ウォンなどの新興国通貨は「米国の選挙に最も敏感に反応する」とした。
米経済が予想外の強さを示し続ける中でドル指数は10月に入ってからこれまでに3%余り上昇。22年9月以来で最高の月間パフォーマンスとなるペースだ。
デリバティブトレーダーは、米金融当局による積極的な利下げ観測が後退し、米国の利回りが他国よりも高水準でとどまる見通しとなったため、ドルに対して強気な姿勢を見せている。選挙結果を巡る疑問から投資家が安全資産に向かうか、トランプ前大統領の勝利が減税や主要貿易相手国に対する大規模関税の導入につながりインフレ圧力を高める恐れがある場合にも影響する可能性がある。
スタンダードチャータードのグローバルG10為替調査および北米マクロ戦略部門の責任者スティーブ・イングランダー氏は30日のリポートで、「市場はトランプ氏の勝利だけでなく、同氏の関税政策が全面的かつ積極的に実施される見通しを早まって織り込んでいるリスクがある」と指摘した。
原題:Dollar Hedging Costs Surge to Most Since 2022 on Election Risks(抜粋)