2歳ごろ急に太り始めたことが病気のサインだった…、40度の高熱から突然の意識不明に【希少難病ローハッド症候群・体験談】
急激な体重増加や呼吸不全からローハッド症候群が疑われる
退院から数日後、瑚々ちゃんの血中酸素濃度が一日中、下がりました。 「退院後は自宅で、パルスオキシメーターを指につけて、血中酸素濃度を定期的に測っていたのですが、血中酸素濃度が65%しかなくて。正常値は96~99%です。急いで入院していた大学病院の救急外来を受診したところ、そのまま入院となりました。 入院中、先日、検査をしたアデノイド肥大や睡眠時無呼吸症候群、肺や筋肉の疾患などの検査結果が出たのですが、どの病気も当てはまりませんでした。遺伝子検査の結果も出たのですが、瑚々の病名はわかりませんでした。 それらの検査結果から、次に医師が疑ったのは、『先天性中枢性低換気症候群』でした。これは先天的な呼吸中枢の異常によって、主に睡眠時に無呼吸や血液中の酸素が低下し、二酸化炭素が多くなる難病との説明でした。 しかし検査の結果、この病気でもないことがわかりました」(未来さん) そして未来さんは、医師から「先天性中枢性低換気症候群でなければ、ローハッド症候群が疑われる」と、説明を受けました。 「ローハッド症候群というのは初めて聞く病名でした。医師は考えられる病気の検査はすべて行ったけれど、それらの病気ではない――。急激な体重増加や呼吸不全があるため、最後に希少難病のローハッド症候群を疑ったようです。 医師から説明を受けた後、インターネットでローハッド症候群について調べたのですが原因不明で、現在のところ治療法がなく、症状は人によってさまざまと書かれていました。とてもまれな病気で、短命の患者さんもいるとも書かれていました。あんなに元気だった瑚々が…。 ローハッド症候群の疑いがより強くなっていると思うと怖くて怖くてしかたがありませんでした」(未来さん)
【鈴木雄一先生から】脳の複数の部位に影響を及ぼすため、早期発見が重要
ローハッド症候群は、脳の複数の部位が障害されるまれな病気です。脳の中心部分には、ホルモンを産生する部分と、呼吸や睡眠、体温調節など体のリズムを調節する部分が隣り合って存在しています。ローハッド症候群は、生命維持に重要なホルモンや呼吸に影響を及ぼすため、早期発見が重要です。この脳の障害が生まれつきなのか、それとも生まれてから発生するのかは、まだはっきりわかっていません。 お話・写真提供/渡辺未来さん 監修/鈴木雄一先生 取材・文/麻生珠恵 たまひよONLINE編集部 ローハッド症候群は、世界で100例ほどと言われる希少難病のため情報が少ないことが課題です。未来さんは、ローハッド症候群が疑われると医師に聞いたときから、正しい情報を得るために「ROHHAD症候群日本事務局・患者家族会」に入会しました。 「ローハッド症候群は、知られざる難病と言われていて、数は少ないけれど苦しんでいる患者さんたちがいます。現在は、国の指定難病に指定されていませんが、2023年度に厚生労働省の難病に関する研究班の研究対象となったことで、1歩前に進めた感じがします」と未来さんは話します。 2回目のインタビューでは、ローハッド症候群の診断や瑚々ちゃんの急変について聞きます。 「 #たまひよ家族を考える 」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。 ■ROHHAD症候群日本事務局 https://rohhadjapan.com/
鈴木雄一先生(すずきゆういち)
PROFILE 福島県立医科大学附属病院 小児科。専門は小児神経学、小児心身医学。日本小児科学会専門医・指導医。日本小児神経学会専門医。福島県指導責任医。子どものこころ専門医・指導医。 ●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。 ●記事の内容は2024年5月の情報であり、現在と異なる場合があります。
たまひよ ONLINE編集部
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