コロナ後遺症 患者の半数が休退職 岡山大病院調査 雇用側の理解訴え
新型コロナウイルス感染症の後遺症で、患者の約半数が退職や休職に追い込まれている―。「コロナ・アフターケア外来」がある岡山大病院(岡山市)の患者への調査で、こんな深刻な就労への影響が明らかになった。担当する総合内科・総合診療科の大塚文男教授は「雇用側の理解が大切。休みやすい、働きやすい環境整備が求められている」と訴えている。 【写真】日々の体調を記録した手帳を見つめる女性 調査は、2021年2月~23年12月に受診した18~64歳の患者に聞き取り、罹患(りかん)前に働いていた545人の状況をまとめた。 後遺症で就労状況に変化があったのは54・1%に当たる295人。内訳は退職53人▽1カ月以上の休職220人▽時短勤務に変更22人―で、うち184人が「収入が減少した」と答えた。年代別でみると40代84人、50代77人、30代64人、20代55人―の順だった。 就労に影響があった患者は、なかった患者に比べて倦怠(けんたい)感、不眠、頭痛、呼吸困難感を訴える人が多かった。特に倦怠感は8割、不眠は3割が訴えた。 後遺症は、世界保健機関(WHO)が「コロナ発症から3カ月間、少なくとも2カ月間続く症状があり、他の診断では説明できない症状」と定義。岡山大病院は21年2月に専門外来を開設しており、患者は30~50代の働き盛りが多く6割を占めているという。 大塚教授は「コロナの重症化は減ったが、後遺症は一定数いる。倦怠感などは外見や数値で分からないため理解してもらえないつらさがあり、周囲の意識が重要だ」と強調。「症状の改善には早期の休養が必要で、雇用側は休める雰囲気をつくり、配置換えや在宅ワーク、当直免除などの負担軽減策も検討してほしい」と話している。