ついにウクライナと交戦、北朝鮮軍に"頼る”ロシアが過去からの姿勢を激変させた事情、北朝鮮の利点は?
北朝鮮が紛争に軍事顧問、あるいは戦闘員を派遣することは前例がないわけではない。北朝鮮はベトナム戦争中、カンボジアのポル・ポト政権を支援し、ヨム・キプール戦争ではイスラエルに対するエジプトの戦闘に参加した過去がある。 ロシアのタス通信が当時報じたところによると、2016年には、内戦中にアサド政権のために戦うため、北朝鮮の長年の同盟国であるシリアにSOFが派遣されている。 ■ロシアの戦争に不可欠な北朝鮮からの物資
北朝鮮による軍需物資の支援は、すでにロシアが戦争を続けるうえで不可欠なものとなっている。砲弾と短距離弾道ミサイルの供給量の見積もりはさまざまだが、低く見積もっても100万発前後で、使用される全弾薬のかなりの割合を占めることになる。北朝鮮の補給は、昨年ロシアがウクライナの攻勢を鈍らせ、戦場で明確な利益を上げる上で極めて重要だと考えられていた。 アメリカと韓国の当局者は、ここ数カ月で大量の供給があったと指摘している。アメリカのロバート・ケプケ国務副次官補代理(日本・韓国・モンゴル担当)は先月、首都ワシントンで開かれた会議で、昨年9月以来、北朝鮮からコンテナ1万6500個以上の弾薬が送られ、ロシアはウクライナに北朝鮮の弾道ミサイル65発以上を発射したと語っている。
一部のアナリストは、北朝鮮の備蓄は間もなく枯渇する可能性があり、この軍事軸の範囲には限界があると指摘している。ランド研究所アナリストのブルース・ベネット氏は、これは同盟というよりむしろ”便宜的な結婚”であり、軍需品の供給が長引かないかもしれないと主張する。 同氏は中国がこの関係に不安を抱いている証拠と、金正恩が祖父である金日成(キム・イルソン)がロシア政府を中国政府に対抗させるために行った冷戦時代の駆け引きを再現しようとしている、と指摘している。
どのような展開になるにせよ、ロシア側も朝鮮戦争以来見られなかったこの枢軸へのコミットメントを示している。6月の訪日中、プーチンは両国間の包括的戦略的パートナーシップ条約に調印した。 同条約には相互防衛条項が盛り込まれ、両国は相手国の外部侵略を撃退することに同意している。10月14日、プーチンはこの条約をロシア下院に提出し、正式な批准を求めた。 ■ロシア側のコミットメントはどの程度か ロシアが朝鮮半島での紛争に巻き込まれるかどうかという質問に対し、ドミトリー・ペスコフ報道官は記者団に対し、両国は「安全保障の確保を含むあらゆる分野で戦略的深化協力を行う」と述べた。条約の意味合いについては、「協定の文言を明確にする必要にない」としている。