西武がソフトバンクに勝てなかったワケ
記録は栗原の内野安打と呉にエラーがついた。さらに打席に主砲・柳田悠岐を迎えたピンチで、二塁へ進んでいた栗原を今井が絶妙のけん制で刺したかにみえた。セーフと判定されると、すかさず辻発彦監督がリクエストを要求した。 結果は覆らなかった。しかし、カウント3-1とボールが先行していた状況もあって、西武ベンチは柳田を申告敬遠。5番・中村晃との勝負を選択した。 直後には西口文也投手コーチが間を取るためにマウンドに向かった。大事な場面だとわかっていたからこそ、初球の149kmのストレートを中村晃に弾き返され、右中間を深々と破られるタイムリー三塁打を食らった場面を今井は悔やんだ。 「(キャッチャーの)森さんもボール気味のところに構えてくれていて、結果、ボール球でしたがミットより内側に入ってしまって、それを1球で仕留められてしまいました。もっと冷静になって投げなければいけませんでした」 ただ、拙守が続いても今井は崩れなかった。5回は続くウラディミール・バレンティンをショートゴロに打ち取ると、6回と7回を三者凡退に仕留める。この時点で球数は今シーズン最多の「125」に達し、失点は「5」ながら自責点は「3」でマウンドを降りた。 「1イニングでの失点が勝敗を分けてくるので、最小失点で抑えなくてはなりません。ただ、今後も今日みたいに長いイニングを投げられればと思います」 こう振り返った今井は、ソフトバンク戦を含めて4試合続けて7イニング以上を投げている。成長の跡を感じさせる粘投に導かれたのか。6回はソフトバンクの2番手・津森宥紀を攻めて、二死一、二塁から若林が三遊間を破って1点を返した。 7回には4番手・泉圭輔から2つの四球を選び、さらに呉のセカンドゴロを周東がファンブル。4回に続く周東のエラーで転がり込んできた二死満塁のチャンスで、8番・愛斗が執念でレフト前へ運び、2人の走者を迎え入れて再び同点とした。 「打ったのはスライダーです。『絶対に打つ』と思って打席に入りました。甘い球をしっかり打つことができました」 勝負強いバッティングをこう振り返った愛斗に続いて、打率1割台の不振にあえぐコーリー・スパンジェンバーグも四球を選んで再び満塁とする。しかし、前の打席で今シーズン4度目の猛打賞を記録していた若林が、空振り三振に倒れてしまった。 西武・平良海馬、ソフトバンク・岩嵜翔と両セットアッパーが8回を無失点に抑えた展開で、西武打線の切り込み隊長役を担うルーキー(駒澤大学卒)を次々と試練が襲った。 9回から登板した3番手、リード・ギャレットが投じた初球、135kmのナックルカーブを8番・松田宣浩がジャストミート。痛烈なライナーと化した打球を、8回にセンターからレフトへ守備位置を変えていた若林がやや目測を誤り、頭上を越されてしまう。