完全にしくじりました…ピーク年収1,200万円、66歳・元「大企業の敏腕部長」が定年後に〈時給1,180円〉のバイトを辞められない「まさかの理由」【CFPの助言】
物価上昇の動きもあり、年金収入だけでは生活費を賄えず、高齢の就業者が増加傾向にある昨今。なかには、綿密に計画したはずの老後生活のプランでも、実際に生活してみると上手くいかないケースもあるようです。本記事では、66歳の元会社員Aさんの事例とともに、牧野FP事務所の牧野寿和CFPが老後生活を送るうえでの注意点について解説します。 ▼【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
減る一方の年金受給見込額と退職金
Aさん(66歳)は、10歳年下の妻と長女(大学4年生)、長男(大学3年生)の家族4人で、都内の分譲マンションで生活しています。 Aさんは現役時代、大企業の人事総部畑でキャリアを築き、50代前半には部長職として年収が1,200万円に、55歳で役員定年を迎え、60歳以降は系列の会社に出向して、65歳になった1年前に退職一時金を1,500万円支給されて定年退職しました。 その後の主な収入は、月約20万円の老齢厚生年金です。さらに75歳までは月3万4,000円※の加給年金が、80歳までは月5万円の企業年金が加算されます。また妻のBさんの収入は、65歳までパート代が月8万円、65歳以降は老齢厚生年金を月約8万6,000円受給の見込みです。 ※令和6年度の受給額 トータルしたA家の収入は、Aさんの年齢だと75歳まで36万4,000円、その後80歳までは月33万6,000円、80歳以降は28万6,000円と、減りながら推移していく予定とのこと。 また、現在の貯蓄残高は、1,600万円と退職金一時金とほぼ同額です。Aさんの収入にしては貯蓄額があまりに少ない理由は、Aさんが43歳で結婚した直後、現在のマンションを購入したからです。そのとき、住宅ローンの返済の負担を減らすため、頭金に夫婦とも結婚までの貯蓄を使っていました。その後は、25年間で返済予定の住宅ローンや子どもの教育費などの出費が重なり、貯蓄はほとんどできませんでした。
退職後に増える支出
そういった状況に危機感を持っていたAさんは、60歳ごろから退職後の準備として、今後の家計収支と貯蓄額の推移を一覧表(キャッシュフロー表)にまとめていました。 そこに書かれていたのは、年金を中心とした収入や生活費などの支出のほか、65歳から3年間、2人の子どもが通う大学の授業料や毎月12万円の住宅ローン返済額など。さらに退職までは、給与天引きだった厚生年金と会社の健康保険に代わり、Bさんの国民年金保険料や家族全員の国民健康保険料の納付額※などが計算されていました。 ※Aさんは検討したが、健康保険任意継続制度には加入しなかった。 それにより、Aさん夫婦は今後家計が厳しくなりそうな3年間は、退職金を取り崩すことで、何とか暮らしていけると判断したのでした。
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