FRB高官発言よりも経済統計が重要-米債券投資家への新たな教訓
(ブルームバーグ): 米債券市場は、投資家が今生きている新しい世界について教訓を突きつける。米連邦準備制度の高官が何を言うかより、経済統計の方がはるかに重要だということだ。
12日午前、5月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回る伸びにとどまったことで、米国債は今年最大級の上昇が始まった。
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同統計発表から6時間もしないうちに、米連邦公開市場委員会(FOMC)が最新の経済予測で年内の利下げはわずか1回との見通しを示したことで、上昇の勢いは若干弱まった。
だが翌日13日には、5月の米生産者物価指数(PPI)は前月比で予想外に低下し、失業保険申請件数が増加し、インフレ圧力の緩和継続を示唆したことから、債券相場は再び勢いを付けた。14日の10年債利回りは4.2%近辺となり、週間ベースでは21ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と昨年12月半ば以来の大幅な低下となった。
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要するに、ハト派的な物価統計が連邦準備制度のタカ派的な発言をかき消したのだ。
こうした展開は、米経済が金融政策立案者をも含め、事実上すべての人を驚かせ続けている今、当局のガイダンスの意義が薄れていることを浮き彫りにする。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は先週、FOMC後の記者会見で、当局はデータの導くところへ進むことに留意していると語った。
従って債券市場は、重要なデータが発表されて金利見通しが見直されるのに伴い、やや波乱含みの展開が続く可能性が高い。
ブラックロック・インベストメント・インスティテュート(BII)のジャン・ボアバン氏は、金融当局者は「発言してくるだろうが、このような環境では、市場は当局者の言うことをいつも以上に割り引く必要がある。飛び込んでくるマクロデータに過剰に反応するのが現在の環境だ」と語る。