慶應大に受かったビリギャルは「地頭が良かった」のか? コロンビア大学院で気づいた日本の教育の問題点
日本の一般入試はすごくフェア
――次の質問は「どうしたらコロンビア大学教育大学院に入れますか。やはり教育的なバックグラウンドは必要ですか」というものです。コロンビア大学教育大学院にはものすごく優秀じゃないと入れないというイメージがありますが、ご自身では何が一番大事だったと思いますか。 まずはパッションがあること、それからその大学院で何をしたいかが明確になっていることです。アメリカの大学院に入るには、TOEFLやIELTSのスコアよりも、入学時に書くエッセーが一番重要です。自分が今まで歩んできた道と行きたい未来をつないで、この大学院に入りたい理由を言語化する力をめちゃくちゃ求められます。私はビリギャルとしての経験から、その点では揺るぎない動機がありました。それと、もうひとつ必要なのがGPA(成績評価)です。ここで見られるのは、過去に所属していたコミュニティーにどれだけ貢献してきたかということです。 ――GPAで見られているのは、過去のテストの成績ではないのですか。 GPAが高いというのは、これまで真剣に勉強に取り組んできたという証拠です。単に成績の良しあしではなく、勉強への姿勢を見ていると私は解釈しています。アメリカの学校は、日本と違ってテストの点数で評価するのではなく、先生が生徒一人ひとりをしっかりと見て、主観的に評価をつけるものだから、真面目にしっかりと取り組んでいればGPAは高いはずなんです。だから残念ながら、アメリカでは「ビリギャル」は誕生できません。私みたいに途中までめちゃくちゃサボって、コミュニティーにもまったく貢献してこなくて「ビリ」だった生徒が、入試で一発逆転するというのは無理なんです。そういう意味では、日本の大学受験の一般選抜は、ほかの国に比べてものすごくフェアだと思いますね。1回の試験で人生を変えることができるから。
プロフィール
小林さやか(こばやし・さやか)/1988年、名古屋市生まれ。中学・高校でビリを経験。素行不良で何度も停学になり、高校2年生のときの学力は小学4年生のレベルで偏差値は30弱だったが、塾講師の坪田信貴氏との出会いを機に大学受験を目指す。その結果、1年半で偏差値を40上げて慶應義塾大学に現役合格を果たした。その経緯を描いた坪田氏の著書『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』は120万部を超えるミリオンセラーとなり、映画化もされた。大学卒業後はウェディングプランナーの仕事に従事した後、「ビリギャル」本人として講演や執筆活動を行う。21年、聖心女子大学大学院文学研究科人間科学専攻教育研究領域博士前期課程修了。24年米国コロンビア大学教育大学院修了。近著に『私はこうして勉強にハマった』(サンクチュアリ出版)がある。