廃業危機の会社から株を100%買い取り、地域の中核企業に育てていく 「事業承継」をビジネスに、近江商人のふるさとに生まれたベンチャーとは
◆廃業寸前の建設業をよみがえらせて
代表の吉川氏が自ら承継者として赴いたのは、京都で建設業を営むミサキ。 創業44年、関西でナンバー1の実績を持つ企業だった。 しかし、過去に事業承継に失敗。 廃業に追い込まれそうだったのを、SoFunが1号案件として2021年に買い取った。 赤字の原因はどこにあるのか。 これまで電話と紙ベースで行われていた受注をクラウドでリアルタイムに管理し、現場の職人とも共有。 効率を上げたことで、施工する案件の数も増えた。 さらに力を入れたのは、人材の確保だ。 新たに若手の営業社員を2人採用。 制服も作業着ではないスポーティーなものに。 そして、改革の一環として外注扱いだった6人の職人全員を社員化した。 改革が進んだ結果、外注の職人から社員になった田中良さんは、長く付き合ってきた同い年の彼女と結婚したという。 田中さんは「社員になって生活が安定し、『結婚しようか』みたいな感じになりました」。 まさに〝SoFun〟な効果だ。
◆「ちょっとうちの面倒もみて」
──現在、ミサキの経営はどうですか。 吉川 ミサキの経営を2年しました。 年率でいうと今40%ぐらい伸びています。 建設業全体が元気かって言ったらそうではなく、市場自体は縮んでいます。 その中でやはり元気なところに声がかかると思います。 また、「ちょっとうちを面倒見てくれへん?」「うちの会社も引き取ってくれないか?」といった話も出てきます。 横も縦も含め、産業再編の核になれるような企業なのかどうなのかっていうのをすごく見ます。 ──業界構造全体を見て、SoFunが立て直したら業界全体がよくなり、会社もSoFunも幸せになれるかを考えていらっしゃる。 吉川 それを地域地域でやっていって、核のある企業をつくっています ──地域に貢献できそうな会社の目利きをしているわけですね。他にはどのような企業を担当しているのでしょうか。 平井 不動産と建築をしている会社です。 吉川 最初にこの2社をやって、それから1年間は案件探しをしなかったんです。 本当に経営をしていくにはどういう要素が必要なのかを1年間ずっと貯め続けて蓄積していって、1年間でそれを仕組み化していくチームを大きくしていくっていうのが手操の役割でした。 ──吉川さんと平井さんが承継して、手操さんが体系化していったということですか。 吉川 そうです。