「知能のゴールドラッシュがきた」孫正義氏「OpenAI o1」を絶賛 講演で孫節全開
ソフトバンクグループ（SBG）の孫正義会長兼社長は3日、東京都内で開いた法人向けイベントで講演し、対話型人工知能（AI）を開発する米オープンAIが9月に公開した新AIモデル「OpenAI o1（オーワン）」について説明し、「知能のゴールドラッシュがきた」と力を込めた。新たに出資したオープンAIを通じて、世界規模での開発競争に注力する考えを強調した。 ■一番優れた機能に圧倒的価値 孫氏は人の1万倍の知能を持つ人工超知能（ASI）を「10年以内に実現する」と改めて主張。AIの能力の高さを示すパラメーターの数を減らし、似たような能力が出せるように試みるという「日本的な努力を主張する人」が多いと指摘したうえで、「それはいいわけ」とばっさり切った。「電気が足りない。予算がないから仕方なくそうするんだと。英知の進化の本当は強くて賢いものだ。競争の中では、一番優れた機能に圧倒的価値が寄せられる」と〝孫節〟を全開にまくしたてた。 孫氏はオーワンについて「ノーベル賞ものだ」と絶賛。「『1000万円もっているとする。それを1億円にして返してほしい。戦略とメカニズムを具体的に述べろ』と質問したら75秒かかった」と話し、「考えているプロセスを見ていると悩んでいるなと、それを見ること自体が楽しい。待たされる喜びが出てくる」と声を弾ませた。 ■数年後にはAIが相談相手に 孫氏は数年後には個人専用のAIが相談相手（パーソナルエージェント）になるとした。エージェントのAIは楽しかった思い出や悲しい出来事などを理解して「幸せを最大化する」ようなアドバイスをしてくれるという。 孫氏は「未知のトライアルにベストな問題解決があった場合、発明と呼ぶ」と定義づけし、AIが自律的に思考し「発明」を行う知性へと進化すると予言した。「知能だけでは剝きだしの刃物のようなもので、有能なだけでは危険」とし、安全や倫理を学ぶことで、慈愛や寛容、優しさを持った「超知性」に進化すると持論も展開した。 SBGは傘下の英半導体設計のアームで大量の情報処理を可能にするAI向け半導体の開発を進めている。孫氏は「アームは年間300億個のチップを出荷している。これにエージェントが入ってくる。これを聞いただけでアームの株を買おうと思いませんか」と会場を沸かせた。
