12cm以上の“高い枕”は脳卒中リスクに、注意したい「殿様枕症候群」をご存じですか?
国立循環器病研究センターらの研究グループは、「脳卒中の原因の1つである特発性椎骨動脈解離の発症割合は枕が高いほど高くなり、さらに硬い枕では関連が顕著である」と発表しました。また、「殿様枕症候群」という新たな疾患概念を提唱しています。この内容について、中路医師に伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
国立循環器病研究センターらが発表した研究内容とは?
編集部: 国立循環器病研究センターらによる研究グループが発表した研究内容について教えてください。 中路先生: 今回紹介する研究は、国立循環器病研究センターらの研究グループが実施したもので、国際学術誌「European Stroke Journal」に掲載されています。 研究グループは、2018~23年に脳卒中で入院した人の中で、特発性椎骨動脈解離と診断された53人と、それ以外の要因で脳卒中になって入院した53人を対象に、脳卒中が発症した時に使っていた枕の高さを調べました。研究の結果、高い枕を使用すると、特発性椎骨動脈解離と診断された症例群が対照群より多くなったことがわかりました。具体的には12cm以上の枕では症例群が34%、対象群が15%で、オッズ比は22.89倍でした。また、15cm以上の枕では症例群が17%、対象群が1.9%で、オッズ比は10.6倍となりました。 今回の研究結果から、「高い枕の使用と特発性椎骨動脈解離の発症には関連がみられた」と研究グループは考察しています。枕が高ければ高いほど、特発性椎骨動脈解離の発症割合が高いことも示唆されました。また、こうした関連性は枕が硬いほど顕著で、柔らかい枕では緩和されていました。高い枕と特発性椎骨動脈解離の関連について、首の屈曲が媒介する効果は全体の3割程度で、寝返りなどの際の頸部の回旋が合わさることで、発症に関連する可能性が示唆されたとのことです。 研究グループは、今回明らかにした内容について、新しい疾患概念として「殿様枕症候群」を提唱しています。