あのマイケル・サンデルの息子、ギネス記録を持つ“活動系”哲学者アダム・サンデルとは何者か
懸垂する異色の哲学者
自分自身と世界における自分の位置に対する満足は、人生の旅路を通して築き上げられる自己の全体性にかかっているとアダムは指摘する。その考察に彩を添えるため、彼は文学や映画、テレビ番組に言及する。また、哲学とフィットネスという、理論的に異なる二つの分野での経験も例にあげる。 アダムは「1分間におこなわれた懸垂の最多回数」のギネス記録保持者である。そんな彼は、ロジャー・バニスターが1954年、1マイル(1.6Km)を4分未満で走った世界最初のアスリートになったオックスフォード大学の歴史的なグラウンドで、何ヵ月間もトレーニングしたりもしている。 誰かが、おそらくはスペインの哲学者フェルナンド・サバテールの著書を読んだ後に、こう言った──哲学者が息子と語らうとき、根底では全人類と語らっているのだ。(続く) 後編のインタビュー本編では、アダム・サンデルが、現代人の生き方がなぜ幸福を損なっているのかを、三つの観点から説明する。そして、子育て、経済活動、地球規模の問題に至るまで、どのように向き合うべきなのかを論じる。父親のマイケル・サンデルも、息子の思想から大いに学ぶところがあったようだ。
Jose María Robles