北陸新幹線も延伸! 「観光」で石川県を復活させるために、今、政府がなすべきことは何か?
北陸が注目する「インバウンド分散」
かつて金沢観光は他の大型観光地と比較すると認知度が低い感があった。しかし、 ・2015年の北陸新幹線の東京~金沢間の開業によってプロモーションが強化された ・同年に石川県を舞台にしたNHK朝の連続テレビ小説「まれ」が放映された ことで、観光客数はそれまでの年間2100万人レベルから約2割増の2500万人レベルへと増加した。今は特に女性の人気が高い国内を代表する観光地となっている。 観光立国を目指すわが国ではインバウンド(訪日外国人)の誘致に力を入れているが、すでに大型観光地ではオーバーツーリズム(観光公害)がいわれるようになっている。その対策として国は11の地域を 「インバウンド分散」 のモデルプロジェクトとし、観光整備を推進するとしているが、そのなかに北陸全域も含まれている(図参照)。対策パッケージでは高山エリア、瀬戸内エリアへの支援事例がピックアップされていたが、石川県こそインバウンド集客が期待できる観光地だろう。
求められる集中投資
石川県は南部の加賀や金沢には城下町風情が残り、伝統的な日本情緒が感じられる。その一方で、北部の能登地域は日本海の荒々しい景観と豊かな海産物に恵まれ、地方の里山が残っている。 能登の玄関口には和倉温泉があり、南部には加賀温泉郷も存在する。ひとつの県のなかにさまざまな観光の要素がある 「バランスの取れた観光地」 といえる。石川県のインバウンド観光のポテンシャルは非常に高い。国はインバウンド政策を“量から質”へと変化させたが、輪島塗などの工芸品や豊かな食文化を持つ石川県は高額支出が期待できる観光地といえる。 しかし、和倉温泉は完全な復興に2年はかかるとしている。日本の観光の将来性を考えるならば、石川県の観光や地場産業の復興を全力で支援すべきだろう。今こそ石川県の観光復興に 「集中投資」 をしてもらいたい。なかなか旅行に行けない人も、金沢の弁当を取り寄せたり、アンテナショップで食品を購入したりして石川県の食を楽しんでみてはどうだろうか。
中村圭(商業・観光リサーチャー)